世の中にはパートさんやアルバイトさんがいっぱい働いていて、私達もお買い物などで外を歩けば、パートさんやアルバイトさんに会わない日はないですよね!
そして、パートさんやアルバイトさんが働くとき、「○○○円の壁」がどうだこうだと必ず聞きますね!
そこで、今回はパートさんアルバイトさんが働くときに収入と税金や社会保障との関係でどうすれば効率良く働けるのかまとめてみました。では細かくみていきましょうね!
今回のお話
楽田C子さん(しーこ40歳)は20年前にG人さん(じーと42歳)と結婚しましたが、性格の不一致で15年前に離婚してから、一人息子のHくん(えいち20歳)をシングルで育てています。そしてHくんは、今、C子さんの元を離れて大学進学と同時に一人暮らしをしています。
C子さんがG人さんと別れるとき、さまざまな事情からG人さんは養育費を払わないしHくんとはもう会わないしと約束しましたので、C子さんはご両親のA造さん(えいぞう65歳)とB代さん(びーよ60歳)に助けられて一人でHくんを育ててきました。
なので大学進学のときは経済的にものすご~く大変でしたが、C子さんとHくんは親子でしっかり決め事をして、無事Hくんは念願の大学に入学することが出来ました。
C子さん 「ママは、大学の学費を4年間キッチリ払うので、Hは、アパートの家賃やその他の生活費は自分でアルバイトをして賄いなさいね!仕送りはできないことわかってるよね?」
Hくん 「オッケイ!!オレ、身体だけは丈夫だから、しっかり働いて自分でやるよ!!」
C子さん 「因みに言っておくけど、H…留年したらママはそこで学費の援助は打ち切るからね!それはわかってるよね?」
Hくん 「オッケイオッケイ!!絶対そんなことしないよ~~~お母さん安心して!」
ということで、Hくんは厳しいながらも楽しい大学生活が始りました。
因みに生活費を全てアルバイト代で賄おうとすると、Hくん、最低でも一ヶ月10万円は稼がないとなりません。そこで、Hくんはバイトを掛け持ちで2つすることにしました。もちろん一つは居酒屋です!なんてたって賄いで一食分の食費を浮かすためです!!さすが、しっかり者C子さんの息子さんです!!!
そして、大学2年生の夏、HくんからC子さんにLINEがきました。
Hくん 『お母さん…、なんかバイトの先輩が言ってたんだけど、バイトで稼ぐの103万円以内にしとけよって!税金かかってくるからって』
C子さん 『いいから、いいから、Hは稼げるだけ稼ぎなさい!ママ、忙しいからまたね!』
Hくん 『……ホントにいいのかな…なんか心配だな…』
そうして、秋から冬になりHくんからC子さんに久々にLINEが…
Hくん 『お母さん!やっぱりやばいじゃん!!オレ10月のバイト代で100万円いくよ!!』
C子さん 『え~~~!ホントに~~~100万円超えたの?なんかやばい気がする~~~!うちは経済状態がカツカツなんだから、余計な出費は極力抑えたいところ!!』
パレ子さん!ちょっと教えてください!!息子のバイト代が100万円超えると、何かがまずいですよね?

はあ~~~~い!C子さん、Hくん、お二人ともホントに大学生活を支えるのにがんばってらっしゃいます!ですから、少しでもそのお手伝いしたいですぅ~~!お二人にとってなるべくお金を損しないようにしましょうね!
それから、アルバイトさんとパートさんは、両者を同じ「パートタイム労働者」としてパートタイム労働法で規律されていますので、以下パートさんと呼びますね!
パートさんが稼ぎ過ぎるとどうなる?

パートさんが稼ぎすぎて、税金が余計に取られたりして思いもかけないお金の出費となってしまった場合、C子さんのところのように母子家庭で一生懸命子育てしているところは死活問題になりかねませんよね~。
そこでまず、パートさんの年収と税金に関してお話しますね!
パートさんの年収と住民税との関係
パートさんの年間の収入が100万円超えると住民税がかかってきますよ~。
住民税の計算は、所得金額に応じて負担をする「所得割」と、一定の所得がある人全員が同じ金額を負担する「均等割」と2つから成り立っています。
Hくんが月10万円×12ヶ月、年間120万円稼いだとして住民税計算してみましょうね!
住民税の「所得割」は、
[120万円-65万円(給与所得控除)-35万円(非課税限度額)]
×0.1(市民税6%・県民税4%)=2万円
Hくん 「お母さんやばいよ~~!オレ2万5000円なんて払ったら、めし食えねえ~し!」
C子さん 「ホントだ、ママも助けてあげらんない~~~ちょっと待って!所得税もあるよね?」
パートさんの年収と所得税との関係
パートさんの年収に対する所得税は、働いたお給料からまず給与所得控除として65万円が引かれ、次に基礎控除分38万円が引かれますので、合計103万円が引かれて、それを越えた部分に所得税がかかってくるということになります。
これをHくんの場合でみてみると、
120万円-65万円(給与所得控除)-38万円(基礎控除分)=17万円
103万円を超えると所得税払わないといけなくなっちゃう~、これが「103万円の壁」っていうやつです!
Hくん 「やっば~~~~!働かないとめし食えねえ~し、働いたら働いたで税金取られるし~~!オレはどうすればいいんだ~~~!」
ちょっと待ってください~~~~!

勤労学生控除がありま~~~す!
勤労学生控除とは、生活費などのためにアルバイトをしている学生を対象に一定の条件を満たすと、税金の計算をする時に一定金額を控除してもらえるんですよ~~~!
要件は
1 | 勤労による所得があること |
2 | 1年間の収入から給与所得控除65万円引いた残りの所得が65万円以下であること |
3 | 特定の学校の学生であること |
これをHくんの場合に当てはめてみると、1と3はオッケイですね、2はどうでしょうか?
Hくん 「やった!!!!オレ、勤労学生だもんね!!!」
そして勤労学生控除は、住民税の方が26万円、所得税の方は27万円が控除されますので、
住民税120万円-65万円-35万円-26万円=0円
所得税120万円-65万円-38万円-27万円=0円となります。
C子さん 「助かった~~~~!H、120万円までだよ稼ぐの、わかった?!絶対ね!~~~でもまだ安心できない!パレ子さん、社会保険はどうなりますか?」
パートさんの年収と社会保険との関係
原則
そうですね~、もし、パートさんの年収が130万円超えると、今までお母さんの扶養に入っていて健康保険料や、国民年金の保険料を払わないで済んでたものが、自分で払わないといけなくなりますので、この点もHくんは気をつけないといけません。
もし、Hくんが自分で健康保険料や、国民年金の保険料を払うとなると大変です!!
国民健康保険の保険料は自治体によって多少異なりますが、月の収入がだいだい10万円くらいだと、保険料は月に4~5,000円~(^^;)、国民年金の保険料は1ヶ月16,340円ですから、月2万円以上は払わないといけなくなりますねぇ~~!
学生納付特例制度
でも、Hくん少し、ほんの少し安心してください!国民年金は学生納付特例制度がありますからね~~~!
Hくん 「なんですか?それ!」
はい、学生の収入が一定額以下の場合に国民年金の保険料の納付を猶予しましょうっていう制度です。いわゆる先延ばしですけど…。
Hくんが前の年の年収が118万円以下の場合は学生納付特例制度を使えます。もし、国民健康保険料月5000円を払っていた場合は、
118万円+(国民健康保険料月5000円×12ヶ月)=124万円まで、この制度を使うことができます。
C子さん 「やっぱりその当たりなのね…微妙だけど、おおっきいね…」
Hくん 「ホントだ…」

安心するのはちょっと早いですぅ
一番気になる親の税金との関係
実はHくんの年間の収入が103万円を超えるとC子さんの所得税や住民税が増えちゃいますぅ~~~!
親の所得税を計算する上で、1年間の収入からまず給与所得控除65万円を引いて、次ぎに所得控除をするのですが、Hくんは20歳で特定扶養親族に当たりますから、63万円が扶養控除となるはずです。しかし、Hくんが103万円以上収入があるとその控除が使えないので、結果的に親であるC子さんの税金が増えることになっちゃいます。そして、住民税での扶養控除の額は45万円です。
63万円×税率10%=63,000円
45万円×税率10%=45,000円
の軽減が受けられないということになりますので、約11万円弱の税金を払わないといけないことになりますね~~~!
C子さん 「私達、ビンボー親子はどうしたらいいの~~~~!」
Hくん 「マジ、やべ~~~」
まとめ
結論からいうと、Hくんは2カ所でバイトしていて年間の収入を126万円までに抑えると、Hくんは所得税と住民税を勤労学生控除を使うことで払わないで済みます。そして、社会保険料(国民健康保険と国民年金)も払わないで済みますね~。
ただ、C子さんは、Hくんの扶養控除を使えないので、税金を11万円ほど多く払うことになります。
そしてHくんは、2カ所で働いているのでちゃんとお給料明細を確認してくださいね!どちらかで所得税を引かれている場合は、勤労学生控除を確定申告して取り戻してくださいね!
そのためには、Hくん!パート先でもらった源泉徴収票って見た目小さくてペラペラだけど、大事な書類だから、しっかり保管するんですよ!!
C子さん、Hくん、ガンバレ!