社会保険を説明すると、広い意味では国民の生活を保障するために設けられた公的な保険制度のことをいい、医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つのことをいいます。
でもみなさんは社会保険と聞くと、頭にすぐ思い浮かべるのは、医療保険、年金保険、介護保険の3つですよね~、これを狭い意味での社会保険といいます。
ご主人に扶養されているパートさんが社会保険に入った方が得か損かを検討するに当たって、今回はこの狭い意味での社会保険について考えてみたいと思います。
今回のお話
楽田C子さん(しーこ40歳)はご主人のG人さん(じーと42歳)と一人息子のHくん(えいち12歳)との3人家族で幸せに暮らしています。
C子さんはHくんが小学校に入った時からパートをしていますが、最近Hくんの夢を聞いてからこのままでいいのかしら~と悩んでいます。
C子さん 「Hの夢のこともあるし~、それから子育ても一段落して私もゆとりの時間ができてきたので、ここらで将来に備えてもうちょっと働いた方がよい気がして~」
G人さん 「いいよ、いいよ、僕がバリバリ働けば、C子の生活もHの夢も大丈夫だよ~~~!」
Hくん 「わーいわーい!ぼくはがんばるぞ~~~ぼくは宇宙飛行士になるぅ!」
C子さん、G人さん「…………(^^;)まあ、それはそれとして…」
C子さん 「パレ子さ~~~ん!私、今パートしてて主人の扶養に入っているんだけど、もう少し時間長めに働いたらいろいろメリットデメリットありますよね? 」
はあ~~~い!任せて!

確かにいろいろメリットデメリットあります!ではその辺のところ詳しくみていきましょう!
社会保険とは?

狭い意味での社会保険として医療保険、年金保険、介護保険は、それぞれの年齢に達したら加入が義務つけられています。医療保険は生まれた時から、年金保険は20歳になったら、介護保険は40歳になったらですね~~!
医療保険
医療保険は、病気やケガをして病院で診察や治療を受ける時に、少ない自己負担で受けることができる保険です。みなさん生まれた時から加入してますので、改めてその有り難みはあんまり感じないかもしれませんが、海外に行くと実費負担ですから保険の有り難さ痛感しますよね。
医療保険は大ざっぱに分けると、市区町村が運営している国民健康保険と、会社員等が加入している健康保険の2つがあります。
C子さんのところは、ご主人のG人さんが会社員ですので、家族みなさん健康保険に入られてます。
年金保険
年金保険というのは、年をとって若い頃のように収入を得ることが難しくなった時でも、安心して生活をしていけるように65歳過ぎてからもらう年金のことです(一部60歳から)。その年金制度を支えるために、20歳になったら国民全員で保険料を負担することになっています。
年金保険は、公務員が加入する共済年金を除いて2種類ありまして、20歳になったら国民年金か厚生年金のいずれかに入らなければなりません。厚生年金は会社員が加入し、国民年金は自営業者や会社員の夫に扶養されている妻が加入します。
C子さんのご主人は会社員ですから第2号被保険者として厚生年金に加入していて、その奥様であるC子さんは第3号被保険者に当たり国民年金に入られてますね。そしてC子さんはその保険料を払ってないんですよね~ここはおっきいですね!
国民年金の加入者は、平成30年度は保険料を毎月16,340円払わなければなりませんから、年にしたら196,080円も払うんです。会社員の妻はこれを払わずに加入していることになってますので、この差はものすごく大きいです!!
介護保険
介護保険は40歳になったら全員加入しなければなりません。
C子さんは今年40歳ですから、もう加入してますね!
C子さん 「年金保険は主人の扶養で国民年金に入ってますけど、パートもたくさん働いて扶養を外れたらこれ自分で払わないといけないんですよね~?そこが心配なんですぅ…これからHのために貯金もたくさんしていかないといけないのに、保険料をたくさん取られたらどっちがいいかわかんなくなっちゃいますよね~~~」
G人さん 「そうだよ!むりやり仕事増やさなくていいよ~それより、美味しい食事作ってくれたらそれでいいよ~~~!」
Hくん 「お母さん!ガンバレ!」
そうですね~C子さんのご心配、受け止めました~~~!ではその辺のところ詳しくみていきましょうね!
社会保険の加入の条件とは?
国民年金に入っていた会社員の妻であったパートさんが、その扶養が外れるのはパートさんの年間の収入が130万円を超えた時なんです。その収入にはお仕事に行くときの通勤手当まで含みますので、月にすると、10万8,333円を超えると、そのパートさんは自分で社会保険(医療と年金)を掛けなければなりません。いわゆる「130万円の壁」っていうやつです!
ただこの点について、2016年10月に改正があったので、少し詳しくお話しますね!
この「130万円の壁」が、「106万円の壁」になったんですぅ~。
パートさんの働く会社が従業員501人以上の会社であった場合、勤務1年以上、週20時間以上、年収106万円の条件を満たすパートさんは、厚生年金に加入しなければなりません。
この改正に喜ぶ人悲しむ人いろいろです!
C子さん 「そうなんだ~~私の場合は、130万円の壁をどうするかってことね~~」
社会保険加入のメリットとデメリット
では、パートさんがこれからのことを考えて「130万円の壁」を乗り越えた時のメリットデメリットお話しますね。
デメリット
130万円の壁を乗り越えた時のデメリットは、なんといっても社会保険料を自分で払うことになりますから、手取りが減ってしまうということです。
1 国民健康保険と国民年金に加入した場合
C子さんがご主人の扶養から外れて自分で社会保険に入ることになっても、勤めている会社で厚生年金等の社会保険に入れてくれない場合は、自分で国民健康保険と国民年金に入ることになります。
例えば130万円の収入の場合、国民健康保険料はほんとに市区町村によってさまざまですが、ざっと年間8万円、国民年金は年間196,080円(16,340円×12ヶ月)となりますので、合計で28万円くらいの負担になります。手取りとしては102万円くらいになっちゃいますね~。
2 健康保険と厚生年金に加入した場合
厚生年金等をかけてくれる会社の場合、社会保険料は収入の約14%になりますから、例えば、130万円の収入だとすると、社会保険料は約18万2,000円ほどになります。そうすると、単純計算ですが、手取りは112万円弱ということになりますね。
そのお勤めしている会社によっても、1と2といずれに加入することになるかわかりません。130万円超えて夫の扶養から外れても社会保険に加入させてくれるとは限らないからです。
C子さん 「え~~~!こう見せられると、デメリットめちゃ大きい気がしますぅ~~~!」
G人さん 「だろ?やっぱりC子は、今のママでいいよ!」
いずれにしてもこう考えると、C子さんにとってデメリット大きい気がしますね…。
メリット
その1
一方、社会保険(健康保険と厚生年金)に加入した場合のメリットは、なんといっても老後にもらえる年金が増えることですね~国民年金をベースに厚生年金が上積みされていくので、そこは大きいメリットになります!そして、その加入期間が長ければ長いほど上積み分が増えていきますから、厚生年金に加入するなら早ければ早いほどいいですね~~~!
でも…一応C子さん達が国民年金をもらえるのが何歳からかは定かではありませんが…(^^;)65歳からもらえるといいですね……。
またそれらの保険料はパートさんと会社が原則として折半して支払いますので、その点もメリットです。
その2
健康保険に入ると、もし、C子さんが病気やケガで就労不能となりお給料がもらえない場合、傷病手当金がもらえます。だいたいいつものお給料(標準報酬日額)の3分の2くらいもらえますよ~。また、出産育児一時金(約40万円)ももらえます。正社員だけじゃなくてパートさんもね!
C子さん 「あら~やだ~~~!」
G人さん 「まあまあ…それはいいから~~~!」
Hくん 「ぼくは弟も妹も欲しくないよ~~~!ね、パパ」
その3
それから、今までよりC子さんの収入が多くなると、それらをHくんのために貯金もいいですが、資産運用して投資信託などのコツコツ投資もいいですよね!これは全てC子さんとG人さんのゆとりあるイキイキ老後につながっていきますからね~~~~!
その4
また、Hくんが勉強や部活でドンドンC子さんの手から離れていくと、C子さんは労働時間や年収の上限を気にしないで働くことができますよね~とすると、片手間のお勤めではなく、キャリアを積むようなお仕事に転職することも選択肢として「あり!」ですね~~~~!
今、人生100年時代といわれるようになってきていますが、確かに寿命はドンドン延びています。
Hくん達がお年寄りになる頃には、107歳まで生きる人が人口の半分という話まで出ていますから、国の年金も滞りなく支払いがなされるか今から心配するよりも、健康的に仕事を続けていけるように今から準備する方が得策ではないかと思います。
つまり、C子さん!40歳から働くのをセーブしつつ65歳からの年金に超~~期待するというよりは、できれば元気に80歳頃まで自分の好きなお仕事するって感じ~~~~~!
まあ…80歳っていうのはアレですが…
C子さん 「なるほど~~~~!時代は、変わってますね!私、なんか資格とりたいな~~」
G人さん 「おいおい~~~ぼくは美味しい食事を作ってくれたらそれで……」
Hくん 「ぼくは、かっこいいママがいい!」
まとめ
扶養されてるパートさんが社会保険をかけるのは得か損かは、人生を短いスパンで考えれば損とも言えますが、長いスパンで考えれば、必ず得だと言えます!
どんな人生になっていくか、どんな人生にするのか、健康であれば、どんな選択肢もありです!