パッと見、ぜ~んぜんお金持ちに見えなくても、実はおじいちゃん、あっちこっちに土地を持っていたりして、亡くなってふたを開けてみたら、なんと相続税を払わないといけなくなったって…一見ちょっとうれしいような、実はうれしくないような話、ありますよね~~~!。
なにがうれしくないかっていうと、そのまま相続するには多額の相続税がかかってしまうこともあるし、またその維持管理が大変だったりします。では維持管理が大変だから手放そうと土地を処分したいと思っても、今度はなかなか買い手がつかなかったり…そうこうしているうちに、相続税の納付期限はあっという間にきちゃうしね~~~。覚えてます?10ヶ月でしたよね?
そこで、土地の相続に関して相続税はどうなるのか?もし払う場合に、相続税を節約する制度があるのか、控除とかね!
楽田さん一家の場合を通して勉強しちゃいましょうね!
今回のケース(下記の事情以外は考慮しないこととしますね!)
楽田C子さん(しーこ22歳)は、幼い頃にお父さんのA造さんが亡くなってから、しっかり者の長女として、母B代さん(びーよ48歳)弟D太くん(でーた18歳)の家族を支えてきました。でも最近ちょっと心配ごとがあるんです。
実は、おじいちゃんのE介さん(いーすけ85歳)が具合が良くなくて~~おばあちゃんのF乃さん(えふの80歳)が看病しているのですが、そのF乃おばあちゃんのことも気がかりなんです。F乃おばあちゃん最近は少し歩くと心臓がハカハカするっていってるし…。
因みにE介さんとF乃さんご夫婦には二人の子どもがいます。C子さん達が小さい頃に亡くなったお父さんのA造さんとN平さん(えぬへい50歳)ですが、N平さんは若い頃から放蕩三昧の生活を送っていて…あっそのことは皆さんご存じですよね~~それから糖尿病になって、それが悪化して腎不全になってしまい、今、週3回透析をしています。
そんなある日、とうとうE介おじいちゃんが亡くなってしましました。
F乃さん 「あなた…私一人残して先に逝ってしまうなんて…私もすぐにお側に行きますから…待っててくださいね…」
B代さん 「お義母さん、なんてことおっしゃるんですか~お義父さんは天国で『まだ来るな!』っていってますよ!」
C子さん 「そうだよ、おばあちゃん、まだまだ元気で長生きしてね~おばあちゃんの作ったあんころ餅、食べたいよ~」
D太くん 「おばあちゃん、オレもうすぐ車の免許取れるから、そしたら、毎日でもおじいちゃんの墓参りに乗せて行ってやるから~元気出して!」
N平さん 「お袋~そんな寂しいこと言うなよ!親父も心配するぞ!」
珍しくN平さんまともなこと言ってますね~
一応E介じいちゃんの財産は、あっちこっちに土地があってその一部が10年後開通予定の高速道路の予定地にひっかり、今現在の価値がなんともろもろ全部で2億円です。
ねえねえパレ子さん、とりあえず私達、税金どれ位払わなきゃならないの?
ドキドキ…
私もドキドキですぅ~~~~~~!でも、正確なことは税理士さんにちゃんと計算してもらってくださいね!

ドキドキ…相続税いくらになりますか?

まず、今回の相続財産は、土地が主でE介じいちゃんが亡くなったときの価格が2億円です。その内訳は、E介さんとF乃さん、N平さんの3人で暮らしていた宅地が2000万円、そのほかの原野、山林が1億8000万円です。
そして相続人が、まず配偶者のF乃さん(2分の1)、その子どものN平さん(4分の1)、そしてA造さんの分を代襲相続するC子さん(8分の1)とD太くん(8分の1)になります。
まず、法定相続分の通り、相続税を計算してみると、
まず、相続財産総額は2億円で、そこから基礎控除額(3000万円+600万円×相続人4人)5400万円を引くと、課税遺産総額が1億4600万円になります。これを法定相続分で分けると…
F乃さん(2分の1)7300万円
N平さん(4分の1)3650万円
C子さん(8分の1)1825万円
D太くん(8分の1)1825万円
になりますので、これに相続税の税率をかけると、
F乃さん 7300万円×0.3-700万円=1490万円
N平さん 3650万円×0.2-200万円=530万円
C子さん 1825万円×0.15-50万円=約223万円
D太くん 1825万円×0.15-50万円=約223万円
ということで、それぞれ、この相続税を納めないと…ってことになりそう。
F乃さん 「私は…もう、お父さんについていくから、どうでもいいわ…」
N平さん 「透析週3回いってて、まともに働いてないのに、どうしてそんな金額払えるかい!」
C子さん 「貯金はたくしかないわ…」 キッパリ!
D太くん 「オレ、高校生だよ~~~払えるわけないじゃん、国はなにほざいてんの!」
B代さん 「お母さんだって、D太の分払うの無理だからね!!!!」
皆さん、落ち着いてください!

大丈夫、控除がありますから~
まず小規模宅地の特例
F乃さんとN平さんはE介さんと一緒に住んでいましたので、宅地2000万円の80%を評価減しますので、それぞれの課税遺産価格は、800万円ずつ下がります。
次に配偶者控除
そして、F乃さんはE介さんの配偶者ですから更に1億6000万円まで相続税はかかりませんので、F乃さんは、相続税は納めなくて大丈夫です。
F乃さん 「どっちでもいいけど、まあ一安心…」
そして障がい者控除
N平さんは透析をしているので、身体障害者手帳1級に該当します。身体障害者手帳1級に該当する方は、85歳から今の年齢を引いた数に20万円を掛けた金額が控除されますので、N平さんは35年×20万円=700万円が相続税から引かれますので、先の小規模宅地の特例と合わせて、N平さんも相続税は納めなくて大丈夫です。
N平さん 「オレ、障害者手帳もってるんだから~この手帳が目に入らぬか~~~!ハッハッハ~」
それから未成年者控除
D太くんは18歳ですね、なので未成年者控除に該当します。満20歳になるまで、年10万円控除されますから、20万円引かれて、納める相続税は約203万円です。良かったね~~~!
D太くん 「ぜーーーんぜん、良くない!!!!!」
C子さん 「ちょっと待って~~~~~~!わ・た・し・は~~~~~~!」
N平さん 「それなら、お袋に全部相続してもらったらいいんじゃないか?そしたら、相続税ゼロだろ!」
確かに今回の相続について遺産分割協議をして、全てをF乃さんに相続させたとしたら、
2億円-3600万円(基礎控除額3000万円+600万円×1人分)-1600万円(小規模宅地の特例)-1億6000万円(配偶者控除)で相続税は、0になります。
でも、もしF乃さんに万が一のことがあったら、E介さんの財産全てを相続したF乃さんの財産を、今度はN平さん、C子さん、D太くんが相続して、また相続税が発生します。そうなると、今回の相続では配偶者控除は使えませんから、皆さんで、結局相続税を払わないといけなくなるかもしれません。
一難去ってまた一難…
そこで、相次相続控除です!
相次相続控除とは、被相続人(今回死んだ人)が10年以内に別の相続で財産をもらってた場合に、そのときに支払ってた相続税の一部を、今回の相続税から控除できるという特例です。この計算は少々ややこしいんですが、ざっと、もしF乃さんが死亡した場合にE介さんの財産のうち8分の1法定相続したC子さんのことで、少しみてみますね。
F乃さんはE介さんの財産から1億円相続していますので、C子さんは4分の1の2500万円を相続することになります。そしてC子さんはE介さんおじいちゃんのときに相続税約223万円を支払っていたとすると、相次相続控除は372万円控除されます。(計算式は国税庁のホームページで確認してね!)
1億円-基礎控除額4800万円(3000万円+600万円×3人)=5200万円
その4分の1、1300万円×0.15-50万円=145万円が相続税になりそうですが、そこから相次相続控除372万円引くと、0円です。
C子さん 「まあ、なんとか理解はできましたが、F乃おばあちゃんが亡くなることを見越して判断できないし~、ホントに困った…」
D太くん 「オレも同じ…未成年者控除もあんまり役にたたないし~~~」
N平さん 「まあ、おれは透析してるからな~~ちょっと安心だな~」
F乃さん 「私は、早くE介さんの元に行こうかと思ったけど、どうしたもんやら…」
まとめ
本当に財産をいっぱい持ってる人が亡くなった場合、ちょっとした判断ミスで、税金を必要以上に払ってしまいそうです。まあ、パレ子んちは大丈夫だけど~~~!
皆さん、財産ないって言ってるお家でも、ふたを開けたら、税金払う羽目になったって人も多いんです。本当の相続の場合は、不動産1個とかで済みませんのでね。ここで、気をつけておいて欲しいのが、安易に大丈夫とか高をくくって、後から追徴課税とかにならないように、早めに税理士さんに相談してくださいね!