土地の相続税と贈与税を徹底比較!払う税金安いのはどっち?

今、確定申告の時期ですね~花粉のグシュングシュンとともに毎年やってきますが、この時期になって、「ウッソー!!!」と慌てふためいている人いませんか?

いいえ、確定申告の時期ではなく、相続税納めるとき?「こんなに払わないといけないなんて~~~~!」って、叫んでる人いませんか?土地の相続税と贈与税は素人にはわかりにくいものです。


そこで、今回は楽田さんご家族のケースで、土地の相続税と贈与税を比較してみましょ!

今回のケース(下記の事情以外は考慮しないこととしますね!)

楽田A造さん(らくたえいぞう55歳)は、お父さんのE介さん(いーすけ80歳)、妻のB代さん(びーよ50歳)娘のC子さん(しーこ22歳)息子のD太くん(でーた18歳)と、北海道札幌市の郊外で5人仲良く暮らしていました。C子さんは小さいときから勉強をしっかりがんばって、今北海道大学4年生で、大学院に進学する予定です。C子さんの夢はできれば札幌市内で学校になじめない子ども達のフリースクールを開きたいと思っています。D太くんはC子さんと異なり勉強は大っ嫌い!でも、自然が大好きなD太くんの夢は、自然あふれる土地で牧場をやりたいと密かに思っています。あの~A造さんのお母さんのF乃さんは、10年前に亡くなっています。

そんなこんなで平和に暮らしていたA造さん、最近ちょっと悩んでいます。実はE介さんは現金はそんなにないのですが、土地をあっちこっちにお持ちで、もし万が一相続とかあった場合に税金をいっぱい取られるんじゃないかって…。

因みに、E介さん所有の土地は…(以下、地価100として固定資産税評価額は70で計算しますね)

物件1 家族で住んでいる土地300平方メートル(地価20万円×㎡)地目 宅地、固定資産税評価額4200万円、建物の固定資産税評価額1200万円

物件2 札幌市すすきのにある土地50平方メートル(地価30万円×㎡)地目 宅地、固定資産税評価額1050万円

物件3 郊外の土地2000平方メートル(地価1万円×㎡)地目 原野、固定資産税評価額1400万円

の3件です。

A造さん  「そろそろ、いろんなこと考えた方がいいべさ~パレ子さん、どう思う?」

そうですね~楽田家の皆さんのお役にたてたら~と思います。パレ子、がんばります!!


相続税対策を考えずに、そのままにしてたら

相続税を計算してみましょう

E介さんが亡くなり、一人息子のA造さんが全て相続したら、3件合計の固定資産税評価額が7850万円になります。しかし、物件1の土地が300平方メートルで、居住用の宅地として小規模宅地等の特例が適用されて80%の評価減で840万円となりますし(4200万円×0.2)、物件2も、事業用の宅地として小規模宅地等の特例が適用されて同じく80%の評価減で210万円(1050万円×0.2)となります。したがって、相続税を計算する上での相続財産総額は3650万円となります。

そしてそこから基礎控除額3600万円(3000万円+A造さん1人分600万円)引きますので、50万円が課税遺産総額となり、

50万円×0.1=5万円が相続税となります。

A造さん  「そっかあ~あんまり相続税もかからないんだべさ~~~~ほっ!」

でも、これだけではなく、土地の所有権をA造さんに相続登記しなければなりませんから、その登録免許税も考えないといけませんよ~。

A造さん  「登記は放ったらかしにしても罰金とかこないんだべ?」

そうはいかないんですよ~登記は所有者が変わったらその都度移転しておかないと、あとあと面倒なことになりますから、ちゃんとしておきましょうね!

不動産の相続に伴う所有権移転登記の登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%かかりますから、

7850万円×0.4%=31万4000円となり、相続税と合わせると、36万4000円ですね!

C子さん  「でもお父さん!札幌市内の土地は、私がフリースクールするなら私にくれるっておじいちゃん言ってたよ!」

D太くん  「オレもオレも、おじいちゃんオレが牧場するなら、めっちゃ広い方をくれるって言ってたよ~~~!」

B代さん  「おじいちゃん、私にはな~~~んもくれないのかしら…」

E介さん  「まあまあ~わかったよ、あげるべさ~!C子にもD太も頑張り屋だから、無駄にはならないべ」

A造さん    「じゃあ~手っ取り早く、その土地C子とD太の名義にしたらどうだい?どっちにしても、いったん僕がその土地を相続してC子とD太にあげるよりいいんでないかい?」

C子さんD太くん「そだね~~~~~~!」    と二人は大きなイチゴを食べながら…

そうですね…結局、物件2物件3は、A造さん相続後、それぞれC子さんD太くんの名義にするんですもんね~

相続税を押える対策を考えてみよう

その1 生前贈与

では、E介さんがまだお元気なうちに、A造さんに物件1を、C子さんに物件2を、D太くんに物件3をそれぞれ贈与したとすると、所有権移転登記の登録免許税が7850万円×2%=160万円、不動産取得税7850万円×3%=235万5000円、合計395万5000円かかります。それに、贈与税も~~~~!

A造さん  「じいちゃんの意志は、確実に反映されるからそれはいいけど~ずいぶんかかるな…」

B代さん  「なんてこと!ちょっと無理ですよ~~」

E介さん  「そんなばかばかしいこと、やめておけ!」

その2 相続時精算課税制度を使ったら

では、贈与税を節約するために、相続時精算課税でしてみたらどうでしょうか?この場合、小規模宅地等の特例は使えないのですが2500万円まで、贈与が非課税になるので物件2と物件3には、贈与税がかかりません。ただ、相続時精算課税制度は、相続のときに相続税を別途考えないといけません。そこで、相続税の基礎控除額を上げるために、C子さんを、E介さんの養子にしてはいかかでしょうか?

そうすると相続時の基礎控除額が3000万円+600万円×2人の計算となり、4200万円になりますから、8150万円-4200万円=3950万円ということになります。先に物件2と3を贈与して、物件1は、A造さんが相続するってことに~~~といろいろ考えましたが、う~~~~~ん、ダメですね!

相続税との比較をすると、デメリットが大きすぎます!

まず、相続時精算課税制度は、受贈者つまりもらう方が20歳過ぎてないと適用できないので、いまいまはD太くん18歳なので使えません。まあ、2年後に使ったとしても、一度この制度を使うと、途中で変更できないし、毎年確定申告も必要で煩雑です。それに相続税を払うとき、現金が用意できないときの物納ができません。更に、所有権移転登記の際の登録免許税と不動産取得税もかなりかかってきます。あともう一つ、C子さんがE介さんの相続時に養子になっていたとしたら、C子さんが払う場合の相続税は2割加算になります。まったくいいところないですぅ…。

A造さん  「そうすると、いまいまは何にもしないで、E介じいちゃんになにかあった時にいろいろ手続きした方がいいみたいだべさ~~」

C子さん  「そだね~~~~!良かったね、いろいろ勉強になったし~~~」

D太くん  「オレも、広い土地もらうために、今からいっぱい身体鍛えるぞ~~~!」

E介さん  「おいおいD太はそっちかい?まあ孫達が困らないように、A造、たのむべさ~~~!」

B代さん  「あなた、お願いね!」


まとめ

実は、このお話は、私の知人から相談受けたお話なんです。広大な土地をお持ちのおじいちゃんが、子ども達に相談しないで、勝手に一人の子どもに所有権移転登記をしていまい、その登録免許税が数百万円請求がきたとのこと…。その請求書をみて、家族は、おったまげ~~~~~~~~~~!!!

皆さん、ざっと計算して、遺産が相続の際の基礎控除額を越えそうなときは、少々お金がかかっても、税理士さん必ず相談してくださいね!ホントですよ!