最近ニュースでもよく話題になりますが、空き家が放置されご近所迷惑になっていること、皆さん良く聞きますよね~。空き家が放置されるのは、親が亡くなりその家に住む人がいなくなった場合が多いみたいなんです。そしてその状態を放っておくと、予想もしない家族に金銭の請求が来たり、その財産をなくしてしまったり…。
そこで今回は、いつもご登場いただく楽田さんのご家族を通して、そういう事態にならないように、土地の相続や、登記の問題、さまざまな手続きの期限などを前もって勉強していきましょうね!。
今回のケース(下記の事情以外は考慮しないこととしますね!)
楽田A造さん(らくたえいぞう50歳)の娘、楽田C子さん(らくたしーこ25歳)は、皆さんご存じの通り、弟D太くん(でーた20歳)Q太郎くん(きゅうたろう15歳)の三人兄弟の長女ですが、今、とっても悩んでいます。というのが、A造さんが最近亡くなってから判明したのですが、実はA造さんが、A造さんの祖母のMゑさん(えむえ95歳)のお家の固定資産税を長きに渡って払ってたんですって…。一応Mゑさんのお家は町中の一等地だったので、年間40万円ほどをMゑさんの息子のE介さん亡き後A造さんが10年に渡り払っていました。
そして、A造さんも最近亡くなったことで、C子さんの悩みなのですが…とその前に、まずは、Mゑさんの親族をご紹介しますね、ちょっと分かりにくいので、耳の穴かっぽじいて聞いてくださいね!
まず、Mゑさんには二人の子どもがいて、E介(いーすけ、既に死亡)さんとP二郎さん(ぴーじろう70歳)、E介さんには二人の子どもがいて、A造さん(既に死亡)とN平さん(えぬへい45歳)、そして、A造さんには妻のB代さんとC子さんD太くんQ太郎くんの子ども三人がいます。P二郎さんは、もう30年前からMゑさんとは音信不通で、もちろんA造さん家族もP二郎さんとは会ったことがありません。
N平のおっちゃんは、相変わらずの人生で、実は税金を滞納しています。
また、Mゑさんのお家は、土地も建物も登記はMゑさんの名義になってますが、Mゑさんは数年前から認知症が進み、今は老人ホームに入っており、A造さんの妻のB代さんが通いで、その面倒をみています。
C子さん 「パパがMゑ曾ばあちゃんのことを大切に思っていたのはわかる…でも、もうMゑ曾ばあちゃんはその家に住んでないんだし、私やD太がその住んでない家の固定資産税を払うのっておかしいよ!それに、私もうすぐ結婚するし~~~~」
D太くん 「オレも絶対無理、無理!オレは大学卒業したら奨学金の返済も待ってるし、その返済だけで十分大変だから~~~~」
Q太郎くん 「なんかよくわかんないけど、僕も無理です!!!」
ねえねえパレ子さん~~~!これってやばくないですか~ちょっと心配ですぅ~?

ほんとですぅ~~!!、やばやばですぅ~C子さん、私もがんばりますので一緒に早く手を打ちましょね!
土地を相続しても、良いことばかりとは…

楽田家の皆さんは、Mゑさんが100歳、110歳までお元気なことを望んでらっしゃるとは思いますが、もう既に95歳ということで、なにが起きてもおかしくない年齢になってらっしゃいますので、一応念のため万が一のことちょっとお伝えしますね~。
もしMゑさんが死亡した場合、その瞬間から相続が始ります。亡くなった被相続人の財産は全てその対象になりますから、もちろん土地建物も相続することになります。ということはそれに伴う固定資産税も、相続人は自分の債務として払わなければなりませんよ~~~!。
そこでまずは、Mゑさんが死亡した場合の相続人をピックアップしますね。
まず配偶者と子どもが第1順位で相続人となります(民法887条、890条)。Mゑさんのご主人はもう既に他界されていますが、子どもが二人いてE介さんとP二郎さんですね~。E介さんは既に死亡していますので、P二郎さんがまず相続人となります。
次に、E介さんの分をE介さんの子どもが代襲相続(887条2項)しますので、子どもであるA造さんとN平のおっちゃんが相続人となります。しかし、A造さんが既に死亡していますから、A造さんの分を、A造さんの子ども達が再代襲相続(887条3項)します。
したがって、Mゑさんが亡くなった場合の相続人は、P二郎さん、N平さん、C子さん、D太くん、Q太郎くんの5人となります。
そして、皆さんの相続分は、P二郎さんが2分の1、N平さんが4分の1、C子さんD太くんQ太郎くんはそれぞれ12分の1となります。
ということは、相続人全員で土地建物を相続した場合、C子さんD太くんQ太郎くんはそれぞれは単純に固定資産税40万円の12分の1、約33,000円を支払わないといけないということになります。
でも、皆さんご存じの通り、P二郎さんは30年行方しれず、N平さんは税金を滞納していますし、固定資産税はA造さんが全て払っていました。そうなると、P二郎さんN平さんは頼れないので、C子さん達兄弟が………
C子さん 「え~~~~!P二郎さんってだれよ~~~!そんな人知らないし~~~~!」
D太くん 「ちょちょちょちょっ~~~~~と待ってくれ!N平のおっちゃんってさ~~~」
Q太郎くん 「はい…遊び人のN平のおっちゃんですぅ…なんかやばい気が…」
N平のおっちゃん「はは~~~~ん、ない袖は振れん!」
B代さん 「じゃあ固定資産税払いたくないから、売っちゃえばいいかしら~~パレ子さん?」
相続した土地の登記どうすればいい?登記に期限は?
ホントに今後住む予定がないならその土地建物を売ってしまうということも考えられますが、もし、C子さん達が相続した土地建物を売る場合、まず、しなければいけないのが共同で相続を原因とする所有権移転登記です。そして、そのあとC子さん達がこの問題を上手に処理をするには、たくさんの越えなければいけない障害があります。
1個目の障害
もし、相続人5人全員で共同相続登記をしようとしたら、行方不明のP二郎さんが最悪見つからなくても、その登記はできますが(保存行為、民法252条但し書き)、そこから、土地建物を売ってしまう場合はP二郎さんが出てこないと先に進めません。(P二郎さんの委任状と印鑑証明書が必要だから)
2個目の障害
なので、遺産分割協議をして、長年固定資産税を払っていたA造さんの子どもであるC子さん達に相続させることも考えられますが、P二郎さんが出てこないとこれもダメです。(ここにもP二郎さんの印鑑証明書が必要です)
となると、Mゑさんが死亡した後にできることは、共同相続登記までということになるかしら~。
まあ土地建物の共同相続登記は、登記をしなければいけない期限もないことですから、ゆっくり落ち着いてからと………ちょっと待って~~~~やばい、やばい!。
3個目の障害っていうか~危険
N平のおっちゃん、税金滞納してますよね~、ということはC子さん達が知らない間に勝手に市役所に相続登記をされてしまったり、差し押さえされてしまう危険もありますね~。そうなると、誰のものにするかとかいう問題ではなくて、財産を失ってしまうことに~~~。
C子さん 「…ガクン…パレ子さん、私達、どうしたら良いの?私もうすぐ結婚するのに…」
相続登記ではなく、生きている間に~
まず、Mゑさんに遺言を書いてもらうことが考えられますが、Mゑさんは既に認知症を患ってらっしゃるので、成年後見人をつけたとしても、そのままの状態では、遺言作成は無理ですね~。ただ、医師の立ち会いの下、Mゑさんが頭がしっかりしているときは、遺言作成もできる場合は無きにしも非ずですが…きっと今の状態では無理ですね。
相続放棄を考えておくことも、重要かしら~~~~、でも、Mゑさんのお家、町中の一等地にあるので資産価値あるんですよね~もったいないですよね~A造さんもその辺を考えて、固定資産税払ってたようですしね~。
とすると、Mゑさんのお体がお元気なうちに成年後見人をつけて、土地建物を売却して、現金にしておくのが良いような気がします。そうすると、相続税を払うのも楽ですしね。また、遺品整理のときも多額の費用がかかってくる場合もありますから~~。
C子さん 「財産があったらあったで、ウキウキどころかヒヤヒヤもんですぅ~~~知らないと大変なことになることも勉強になりました~パレ子さん、ありがとうございます!少し安心して、結婚の準備できそうです!」
D太くん 「オレも、少し安心した~大学辞めなくていいかな~~」
Q太郎くん 「僕はなにがなんだか~~~でも、お姉ちゃん達に任せる~」
N平のおっちゃん「あのな~オレにもちゃんと、分け前おくれ、お願いだから~~~」
B代さん 「A造さん、早すぎるわよ~逝っちゃうの~、C子がしっかりしてるからいいけど~ちゃんと天国で私達のことみててね!」
まとめ
今回のご相談は、ちょっと複雑で~ケースバイケースが多岐にわたるので、その全てのケースをご紹介することが難しかったですぅ~~~~!。
でも、相続登記はできれば、土地や建物の所有者が亡くなったらほったらかしにしないで、こまめに実体に合わせて所有権移転登記をしておくことが大切ですね!
また、P二郎さんについて、失踪宣告(民法30条)を申し立てておくのも一計ですね、ある人の生死が7年以上明らかでないときは、この宣告で死亡したものとみなされることになりますから、最初にいった相続後に土地建物を売ったり、担保に供したり、いろいろ選択が楽にできますからね~!
ちょっとだけ先を見越して万が一のときのお話を、家族で笑いながらでも、お話していくことも大切かもしれませんね!