人が亡くなり相続が始ると、悲しみもそこそこにお金に関するいろいろな問題が出てきます。例えば、まず最初にお葬式をどれ位の規模でやるか…って、まあぶっちゃけいくらかけるかってこと。そして、それがバタバタ終わったら亡くなった人の財産をどう分けるか…そして、10ヶ月後に相続税をいくら払わなければならないかの問題にぶち当たります。
そして、残された家族の形もいろいろです。例えば、奥さん子供双方が残る場合、または奥さんもしくは子供のどちらか片方しか残らない場合、はたまた、子供が残っているけど同居している場合や、もしくは遠く離れて暮らしている場合とホントにさまざまな家族の形がありますよね~。
そういう家族の形によって、納めなければならない相続税の額の変わってくるんですよ~~~!
そこで、今回は家族の形が相続税に及ぼす影響を楽田さんのケースでみてみましょうね!
今回のケース(下記の事情以外は考慮しないこととしますね!)
楽田A造さん(らくだえいぞう55歳)は妻のB代さん(びーよ50歳)と娘のC子さん(しーこ25歳)と息子のD太くん(でーた20歳)の4人家族で幸せに暮らしています。A造さんは一人っ子なんですが、A造さんの両親はご健在でして、お父さんはE介さん(いーすけ85歳)といい、お母さんはF乃(えふの80歳)さんといいます。
そして、一人っ子のA造さんはいつでもご両親の面倒を見れるようにと、E介さんの隣にお家を建ててみんなで仲良く暮らしていました。
ところがある日、E介さんがすーっと眠るように亡くなってしまいました。大往生でした…。
バタバタと悲しみながらもお葬式を終え、四十九日も終えて、なんやかんやしているうちに相続税の申告の期限もやってきます。
A造さん 「父さんの残した財産は主に土地建物だからな…どうしたら相続税が節約できるかな~~?」
F乃さん 「お父さんも逝っちゃったから、そろそろ私の番かな~~~E介さん待っててくださいね~」
B代さん 「お母さんなんてこと…そんなことは言わないでください…ねっお母さん!」
C子さん 「そうだよ~~~おばあちゃん!まだまだ元気でひ孫をみたいって言ってたじゃない~~」
D太くん 「オレ、今大学で相続税の勉強してるんだけど~小規模宅地等の特例が適用されると、宅地は80%評価減になるんだよね~~、おじいちゃんのところ、土地6000万円するんだったよね~」
パレ子さん!どうしたらいいかな~~~家を相続する場合のいろいろ、教えてくださ~~~い!

ハア~~~イ!任せてくださ~~~~い!
家を相続する場合、相続税の計算はどうなりますか?

因みに、E介さんが住んでた土地(330平方メートル)は相続税評価額6000万円、建物が2000万円です。それ以外特に財産はありませんし、法定相続人は妻のF乃さんと息子のA造さんだけです。
そうすると、基礎控除は3000万円+600万円×2人=4200万円となり、
8000万円から4200万円を引いて、3800万円を二人で半分ずつ相続したとすると、
一人1900万円×0.15-50万円=235万円を相続税を納めないといけません。でも、F乃さんは1億6000万円まで非課税ですから、A造さんだけかな…税金払うの~~~!
ちょっと、待って!!小規模宅地等の特例を忘れてた~~~!
小規模宅地等の特例を適用してみます
D太くんの言うとおり、小規模宅地等の特例を適用すると、330平方メートルまでの宅地は80%の評価減になりますが、その適用するための要件が問題です。
配偶者が土地を取得する場合
これは、問題無く特例適用になりますから、6000万円の土地は相続税の計算においては80%の評価減となり、1200万円として相続税を計算していきます。
でも、先ほどのF乃さんの言葉も引っかかりますよね~~。もし、F乃さんになにかあったら、すぐA造さんがその財産を相続することになりますよね~~。その場合は、小規模宅地等の特例は適用にはなりませんので、相続税評価額のまんま相続することになります。つまり6000万円のまんまです。
なぜなら、小規模宅地等の特例の要件が、配偶者以外の場合は、同居が要件となっているからなんですね。
同居していた親族が土地を取得する場合
もっとも、親族つまりA造さん達家族がE介さんと同居していた場合は、
1 相続開始の時から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、
2 その宅地等を相続税の申告期限まで所有してたら、
特例が適用されて、相続税の申告の時に1200万円として評価されますから、A造さんが相続する財産は宅地1200万円と建物2000万円で、合計3200万円ですから、ざっと、基礎控除の範囲に収まりますね。
親族が同居していない場合
これが、最近問題になっている、いわゆる「家なき子」問題です。「家なき子」とは、自分の持ち家を所有してない人のことを俗に言ってるんですが~。
例えば、E介さんは妻のF乃さんに先立たれて一人で暮らしていて、一人息子のA造さんがずっと借家住まいだった場合、つまりA造さんが自分の持ち家をずっと持ってない場合に、A造さんがそのE介さんが住んでた家を取得して相続税の申告期限まで所有すると、小規模宅地等の特例が適用されて、80%の評価減になります。
A造さん 「パレ子さん、いっぱいお話してくれたけど、要するに、母屋のとなりに住んでる私が家を相続する場合は、小規模宅地等の特例は適用がないから、そのままの評価額で、相続税の計算をしないといけないってことですね~まずは元気な母が全部相続すると、税金は払わなくていいってことですね~」
F乃さん 「でも、私になにかあったら~~~A造、ようく考えてね!」
B代さん 「お母さんなんてこと…そんなことは絶対言わないでくださいよ…ねっお母さん!」
C子さん 「ホントに~おばあちゃん!まだまだ元気でひ孫も玄孫もみたいって言ってたじゃない~~」
D太くん 「おばあちゃんが元気で長生きして欲しいのはおんなじだけど、これから相続の時に払わないといけない税金は、お父さんだけじゃなくて、僕の代まで考えてね~頼むから~お父さん!」
まとめ
実は、先ほどの「家なき子」の要件が、2018年4月1日の改正で、新たに要件が追加され、厳格化されました。
持ち家に居住していない特例の対象者の範囲から、次に掲げる者を除外するんですって~。
A 相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者
B 相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者
なんか、難しいですね!
要するに、国は相続税を今よりふんだくりたいってことかな!