家を相続する時、妻が悲しまないようにできますか!

今、世間では年老いたご夫婦が双方の介護を担い、ホトホト疲れて悲惨な事件が起きたりしていますよね…。また、子供がいないご夫婦も片方が亡くなってしまったら、残されたもう一方の方の住む家が失くなってしまうなんてことも…。

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長年連れ添ったご夫婦の一方が亡くなると、残されたもう片方の失望感は大変なものですぅ…。

私ごとですが、うちの父が亡くなった時の母の落ち込みようは大変でした…、鬱になりそうでした。

そこで、今回はそんなラブラブなご夫婦に起きそうな出来事をピックアップしてみました。

今回のケース(下記の事情以外は考慮しないこととしますね!)

一流企業のサラリーマンをしている楽田A造さん(らくだえいぞう55歳)はのB代さん(びーよ55歳)と2人暮らし、お二人にはお子様はいらっしゃらなかったんですが、週末には趣味の絵画鑑賞にお出かけしたり、ガーデニングをしたりと、とっても仲が良いんですぅ~~~!

そんな幸せなお二人ですが、A造さんには少し不安が…。

A造さん  「うちには子供がいないので、もしも僕に何かあったら妻が残りの人生を安心して生活できるようにしておきたいんだけど~~」

B代さん  「あなた…なんか怖いこと言わないでちょうだい!もしもってそんな…」

A造さん  「財産が無いわけではないんだけど~、相続税思いっきり取られたら、B代の生活が脅かされるだろう?僕がいたらなんとしてでも守ってあげられるけど、天国からじゃ~なにもできないよね~」

そうですね~~、A造さんの奥様に対するお気持ち、パレ子、涙がちょちょぎれますぅ~~~~!

はい!かしこまりました~~~!いろいろ考えてみましょうね!

因みに、A造さんの資産は、ご夫婦でお住まいの土地8000万円、4000万円、絵画等の美術品(時価総額6000万円)、有価証券等1000万円、預貯金1000万円、軽井沢の別荘(土地建物4000万円)、の合計2億4000万円です。

あっ!もう一つ大事なことというか、心配なことが~~A造さんに弟が一人います。N平さん(えぬへい50歳)ですぅ。

家を妻に生前贈与で、税金対策になりますか?

税金をなるべく納めたくないのは、みなさん同じですよね~。ですから、相続時の財産を減らす方向で、例えば家を生前贈与してみたらどうか考えてみましょう。

夫婦間で居住用の不動産を贈与した時に2000万円の配偶者控除があります。それに加えて110万円までの暦年贈与の非課税枠もありますので、合計2110万円が非課税となります。

A造さん所有の土地は時価総額8000万円で、固定資産税評価額(地価公示価格の7割として計算)は5600万円です。ここから先ほどの2110万円を引いて3490万円が贈与されたとすると、

3490万円×0.5-250万円=1495万円

の贈与税がかかります!

A造さん  「え~~~~~~~!なんと!」

B代さん  「とんでもないわ~~~~!」

これに加えて不動産取得税が土地4%、家3%かかり、さらに所有権移転登記の登録免許税が2%……。

A造さん  「ほ~~~、早まらなくて良かった…」

まったく、節税になりませ~~~~~~ん!

では、相続って形を取るとして何か問題は?

A造さんもしものことがあったとして、その場合は、A造さんの妻を思う気持ちを大切にすることはできるでしょうか?

A造さんご夫婦にはお子さんがいらっしゃらないので、A造さんの財産を相続する人は妻のB代さん(民法890条)と弟のN平さん(889条1項2号)になります。そしてその法定相続分の割合はB代さん4分の3、N平さん4分の1(900条3号)となりますね。

ここで問題なのが、A造さんの財産のうち、今2人で住んでいる家と軽井沢の別荘の占める割合なんですぅ。この二つの不動産が合計で1億6000万円、つまり財産のうち不動産の占める割合が3分の2もあるんですね~。

A造さん  「家と別荘は、絶対B代に残したいからね~~それは誰にも譲れないよ!」

B代さん  「夏は2ヶ月、必ず軽井沢ですからね~~」

ではそれ以外の6000万円分がN平さんの法定相続分とすると、分けるのが難しいですね~。美術品もお二人の思い入れが強いですし、預貯金を全部N平さんって訳にはいかないしね~。



 

遺言を書くことをお勧めします

そうであるならば、公正証書遺言(969条)の方式で遺言に残しておくことをお勧めします!

「全ての財産をB代に渡す」

B代さん  「あなた、お願い~~」

A造さん  「でも、全部思い通りにはいかないんだろう?なんだっけ…遺留分とかなんとか…」

はい、人が亡くなった時の相続については、まず遺言が優先し、遺言がない場合は法定相続分で分けます。そして、遺言により自分の法定相続分を侵害されている人を救済するために、遺留分減殺請求という制度があるんですが、B代さん安心してください!被相続人の兄弟には、その権利は認めれてないんですぅ(1028条)。

B代さん  「ほっ…なんだかN平さんには申し分けないですわね…あなた、少しN平さんにもね…?」

A造さん  「わかった、わかった、少しなんとかするよ~」

そして相続税の申告について、配偶者は1億6000万円までか法定相続分まで非課税ですから、そのときは、絵画等の美術品(時価総額6000万円)で調整していただくのが良いかと思います。



まとめ

まだ、法律が成立している訳ではないんですが、今年の通常国会に相続法の改正案が提出されています。

亡くなった人の配偶者であった人が、相続をきっかけに生活の基盤である居住地を失ってしまわないようにするための改正案が検討されているんですよ~。今までも残された配偶者の短期居住権は認められていたんですが、長期居住権の新設が検討されています。

配偶者の長期居住権が認められると、遺産分割での配偶者の相続分をより多くすることができそうですね。

また、この辺はしっかり法律が成立したら、ご案内させていただきますね!お楽しみに~~~~~~!