50代のみなさんのところにも、届いていますか?「ねんきん定期便」!
国民年金と厚生年金保険の加入者(被保険者)には、毎年自分の誕生月に送られてきますよね~!
ウキウキで将来も安泰だな~ってその「ねんきん定期便」を見る人、一方、その「ねんきん定期便」を不安いっぱいで心ザワザワ見る人…いろいろだと思います。
今回は年金の減額っていうテーマなんですが、減額ってお仕事いっぱいしてガッポリ稼いでいるなら、もらえる年金減らしましょうね!ってお話…。つまり、ウキウキのザワザワの人向けのお話です!
今回のお話
楽田A造さん(らくだえいぞう59歳)は妻のB代さん(びーよ55歳)と娘のC子さん(しーこ30歳)と息子のD太くん(でーた28歳)の4人家族で幸せに暮らしていました。A造さんは、一流会社のサラリーマンで今年定年を迎えます。B代さんは専業主婦、C子さんは銀行に勤めて8年経ち、D太くんもバリバリの営業マンをやって6年目です。
お父さんのA造さんの定年を控えて、ある夜のこと…
C子さん 「パパ、もうすぐ定年だよね~、でも会社から残ってくれっていわれてるでしょう?このまま仕事は続けるつもりみたいだね!」
B代さん 「そうなの!ほらパパは今までずっ~~とガムシャラに会社のためにって仕事してきた人でしょう?私は少し身体休めて欲しいな~って思ってるんだけど、続けるって言ってる…」
D太くん 「おやじも会社人間だからな~~~」
B代さん 「私、少し心配なことがあるのよ~パパの身体も心配だし~それから60歳過ぎて年金もらえる年になるでしょう?なのに、あんまりお給料もらい過ぎるともらえる年金も減額されちゃうんじゃないかって?なんかそれも損よね~~~!」
C子さん 「パレ子さん!その辺のこと、詳しい?」
はあ~~~い!パレ子も勉強しながら、詳しいことお知らせしま~~~す!がんばります!!

まず、年金がいつからもらえるか調べましょうね!

年金の仕組み
みなさん、年金のお話をする時に、「うちは国民年金よ~」とか「うちは厚生年金よ~」とか、この二つは異なる年金をもらってると思っている人いませんか?20代や30代と違い、50代の方はさすがにいらっしゃらないかな~私は50歳の頃、その当たりはぜんぜん知りませんでした~(^^;)。
国民年金(基礎年金)はその言葉通り、所定の保険料を納めた国民全員がもらえる年金です。そして、厚生年金とは、その基礎年金に上乗せして報酬比例年金が支給されることを言うんです。国民年金は平屋に住んでて、厚生年金の人は二階建てに住んでる感じかな~。
それからもう一つ、三階建てのお家に住んでるみたいに、国民年金、厚生年金にさらに上乗せして年金をもらってる人もいらっしゃるんですよ~~~~!企業年金です!この年金は国民年金や厚生年金と異なり、公的年金ではないんですが、厚生年金基金や確定給付企業年金など…うらやましいですね~~~!
年金の仕組みがわかっていただけたところで、ではいつから年金もらえるのか、気になるところです。
年金の支給開始年齢は?
年金制度はいろいろ改正を重ねてきて昭和61年に今の年金制度ができあがりました。
まず国民年金の支給開始年齢は65歳です。これは皆さん同じですね!
そして、二階部分の厚生年金は、昭和61年4月以前は原則60歳開始でした。しかし、平成12年に改正されて年齢に応じて段階的にもらえるのが遅くなっています。
男性と女性でも異なります。では、楽田家のA造さんをみてみましょう。A造さんは昭和34年7月生まれですから、厚生年金の報酬比例部分は63歳になったときからもらえることになります。
詳しくは↓下記の日本年金機構のページをみてくださいね!
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20150401-03.files/kaishi.pdf
A造さん 「僕は63歳からか~まあ、まだまだ仕事するから良いけど~」
B代さん 「39年生まれの私も63歳からですけど、私はサラリーマンの妻で第3号被保険者だから、国民年金だけなので、65歳って決まってるから関係ないわね!」
因みにサラリーマンの厚生年金の報酬比例部分の平均金額は、月14.5万円だそうです(厚生労働省年金局「平成28年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」による)。
C子さん 「じゃあ、60歳過ぎても仕事する気満々のパパが63歳になって年金もらうときには、ママはその年金が減らされるって心配してるのよね?」
D太くん 「は~~~~ん、でもさ~国の財政もやばいんだから、仕方ないんじゃないの?ちょっとくらい減っても~」
では、年金が減額されてしまう場合はどんなとき?
繰上げ支給
これは楽田家とは関係ないんですが、一応もらう年金が減額されてしまう代表的な場合なので、説明しときますね!
国民年金の老齢基礎年金の支給開始年齢は先ほども言いましたように、原則65歳です。でも、仕事や健康状況によって収入が少なくて65歳までその支給を待てない人が申請をして、早く国民年金をもらえるようにしたのが繰上げ支給です。
例えば60歳から国民年金をもらいたい人は5年早くもらうことになりますね。繰上げによる年金の減額率は1ヶ月0.5%ですから、5年×12ヶ月×0.5%=30%の減額となります。
そうすると、月約6万円の国民年金を5年繰上げしてもらうとするとその金額は42,000円になってしまうということですね…。ちょっと大変ですね…生活が…。
因みに、繰下げ支給といって、国民年金の支給を65歳からではなくて遅らせることもできます。この場合は増額率が1ヶ月0.7%になりますよ~~~~~!
70歳からに遅らせると、5年×12ヶ月×0.7%=42%年金増えますからね!
在職老齢年金の減額とは?
では、楽田さんご一家の心配の減額のお話に入りますね!
60歳を過ぎて定年になっても、会社から望まれたり自らが望んだりして仕事を続ける人は多いです。そして、今、人生100年時代といわれはじめている今日この頃は、この傾向がとっても強くなってきています。
そんな在職していて厚生年金の被保険者となっている方は、標準報酬相当額に応じて年金額が支給停止となる場合があります。つまり、バリバリ働いてる人はもらえる年金額が減額されちゃいますよ~~ってことなんです!
B代さん 「これこれ!このことが心配なのよ~~~!」
では具体的にどれくらい収入があると減額されるか説明いたしますね!では、まず言葉が難しいので用語の説明からしますね。
基本月額(A)⇒ 加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生年金の月額
総報酬月額相当額(B)⇒(その月の標準報酬月額)+(直近1年間の標準賞与額の合計÷12)
60歳から64歳までの在職老齢年金のしくみ
AとBの合計額 | 計算方法(在職老齢年金制度による調整後の年金支給月額) |
AとBの合計額が28万円以下の場合 | 全額支給 |
Bが46万円以下で
Aが28万円以下の場合 |
基本月額-[(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)÷2] |
Bが46万円以下で
Aが28万円超の場合 |
基本月額-[総報酬月額相当額÷2] |
Bが46万円超で
Aが28万円以下の場合 |
基本月額-《[(46万円+基本月額-28万円)÷2]+[総報酬月額相当額-46万円]》 |
Bが46万円超で
Aが28万円超の場合 |
基本月額-《46万円÷2+[総報酬月額相当額-46万円]》 |
A造さん 「僕は、63歳からもらえるはずの特別支給の老齢厚生年金の月額が20万円で、定年以降の会社が提示している給料が月30万円、賞与が年間120万円のはずだよ」
B代さん 「あなた、それはまずいんじゃない?」
C子さん 「お父さん、Aが20万円で、Bを計算すると40万円ってことになるわね~~」
D太くん 「そうなると、基本月額20万円-[(総報酬月額相当額40万円+基本月額20万円-28万円)÷2]で4万円……ってことかな…お父さんもらえる年金4万円…
B代さん 「ほ~~~~ら、やっぱり~~~~心配した通りだわ~~~」

確かに~~~~~!でも、65歳過ぎると、在職老齢年金のしくみが変わります。減額の度合いも変わりますので、計算してみましょう!
65歳以上の在職老齢年金のしくみ
AとBの合計額 | 計算方法(在職老齢年金制度による調整後の年金支給月額) |
AとBの合計額が46万円以下の場合 | 全額支給 |
AとBの合計額が46万円超の場合 | 基本月額-[(総報酬月額相当額+基本月額-46万円)÷2] |
楽田A造さんのAが20万円で、Bが40万円だから、AとBの合計額が46万円超の場合に当たり、
20万円-[(40万円+20万円-46万円)÷2]=13万円 老齢厚生年金は13万円ですね~
A造さん 「まあ~仕方ないよ、ママも我慢してくれ!」
B代さん 「65歳になると老齢厚生年金9万増える……って!パパ、お仕事辞めて年金もらいましょうよ!そして、旅行行ったりしましょ!」
C子さん 「ママ、100年時代の人生戦略のリンダグラットンもいってたじゃない、これからは80歳位まで働くことになるよ!って、パパ流行の最先端よ!」
D太くん 「そうだよ!これから高齢化社会になって、国の年金財政も破綻しないとも限らないから、現役で働ける人は、がんばってた方がいい!それにおやじも仕事辞めて、急に老けられてもやだしね~」
それと、65歳からは老齢基礎年金が加えられますから、A造さんイキイキ働けるときまで、働いてください!
まとめ
数字上、A造さんの老齢厚生年金4万円しかもらえないって聞くと、不安ですよね~確かに!でも、現役で年間480万円の収入があり、年金がプラス48万円ですから、全部で年間528万円の収入ってことになります。
国が支払う年金も240万円-48万円で192万円も浮いたことになりますから、国としては元気で働き続ける人を増やすのも大事な政策になりますね~~!
そして、定年の年もかなり前は55歳でした。それから60歳になり、そして年月が経ち60歳から65歳になりつつありますね!
国の借金を減らし財政を健全化していくことも大切なことですから、私達は一人一人が健康で楽しみながら働き続けていけるように、みなさん一緒にがんばりましょね!