大切な家族を失ってやっとの思いでお葬式をだして、初七日や四十九日といった法要も行って、心落ち着く間もなく亡くなった人の税金も払わないといけないなんて…。
なんか残酷は気がしますが、納めないといけない税金を払わないとペナルティーが科されますぅ~~~!
私たち50代には、年金収入で生活している親をお持ちの人も多いと思いますので、親を看取った後の必ずやらなければならない手続きである確定申告について少しまとめてみました。
今回のお話
楽田A造さん(らくたえいぞう55歳)は妻のB代さん(びーよ50歳)と娘のC子さん(しーこ30歳)と息子のD太くん(でーた25歳)と、A造さんのお父さんのE介さん(いーすけ85歳)とお母さんのF乃さん(えふの80歳)の6人家族です。
E介おじいさんは若い現役時代はバリバリの商社マンで、F乃おばあさんはそのバリバリ夫を支える献身的な奥様でした。E介さんとF乃さんは二人で毎晩ワインをたしなむのが日課のステキなお二人なんです!
そんな幸せな2世帯家族にも別れはやってきます。E介おじいさんが朝になっても目を覚ましません。2018年2月14日のことでした…享年85歳。そして悲しみに包まれた楽田家にさらに悲しい出来事が~~~~~!
後を追うようにF乃おばあさんも3月16日に天国に旅立っていってしまったのです…享年80歳。
バタバタと二つのお葬式を相次いでだした楽田A造さん達家族…疲れ果てた4人がボソボソとお話しています。
A造さん 「なんかあっという間だったな……」
B代さん 「ほんとに突然お義父さんが、そして一ヶ月の間にお義母さんも後を追うように…」
C子さん 「寂しい…おばあちゃん大好きだったのに…」
D太くん 「だよな…オレはおじいちゃんのバリバリの時代の話を聞くのが好きだったな…」
E介さん 「いいんだ、いいんだ、お前達と一緒で楽しい生活だったよ………」
F乃さん 「そうですよ、B代さん、C子ちゃん、D太、ありがとね………私はE介さんと一緒がいいから、ちょっと早めにこの世にさよならしますね………」
ところで、E介おじいさんは年金をたくさんもらってました。聞くところによると年金は3階建てで500万円以上とのこと…、
これは確定申告しないといけないんでしょうか?パレ子さん、教えてください!

かしこまりました!
E介おじいさん、たくさんもらってましたね!
はい、2月14日に亡くなったE介おじいさんと3月16日に亡くなったF乃おばあさん、亡くなったことはとっても辛く悲しいことですね。
一方で、それに伴いやらなければならない手続きにも期限等がありますので、お二人の一人息子さんのA造さんは、気を取り直してキチンと手続きしていきましょう!
と、その前に年金のことを少し押えましょう!

E介おじいさんは「年金3階建て」といいましたがどういう意味かをちょっと説明しますね!
まず、自営業者の方は国民年金に加入していますので、65歳からもらう年金は老齢基礎年金(平成30年は年779,300円)のみですね。
これに対して会社にお勤めしていて厚生年金をかけていた人は、もらう年金は65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金と2階建てになっています。そして、私的年金である企業年金をかけていた人はさらにそれに上積みしますので、3階建てということになるんですね~~~~!
そうすると、老齢基礎年金が年に78万円位なのに対して、2階建て3階建ての方は、合わせて年金が400万円超えや500万円超えの人がいらっしゃるということになります。羨ましい限りですぅ~~~!
因みに自営業者の方も、2階建てにする国民年金基金という方法もありますからね。
では年金を受けてた人が死亡した場合、確定申告必要ですか?
亡くなった人も一定の場合確定申告が必要で、「準確定申告」といいます。
では必ず準確定申告しないといけない人とは?
1 公的年金等による収入が400万円超える人
2 2カ所以上から給与をもらっていた人
3 給与所得、退職所得以外の所得金額が20万円を超える人
4 年間2000万円以上の給与所得があった人
5 生命保険等の満期金や一時金をもらった人
6 土地や建物を譲渡して、譲渡所得があった人
7 事業所得や不動産所得があった人
が準確定申告が必要な人です。
準確定申告した方がよい人もいらっしゃいます
8 高額の医療費を払っていた人
9 各種控除を受ける人
10 給与、年金による収入のみで、源泉徴収を行われている人
A造さん 「そうすると、おやじは1の要件に引っかかるな~~500万円以上だからな~~~」
B代さん 「そうですね~羨ましい限りです、でもお義父さんは現役の時相当頑張ったですもんね~~」
D太くん 「僕も、おじいちゃんみたいにがんばろ~~!」
C子さん 「おばあちゃんはサラリーマンの主婦で老齢基礎年金だけだよね~~そうすると、おばあちゃんの分は準確定申告必要ないね?」
A造さん 「それがおやじが亡くなって、生命保険が下りたんだ~~5000万円~~」
C子さん 「5 0 0 0 ま ん え ん~~~? ふぅ~~~~!」
D太くん 「すごすぎ…」
B代さん 「そうなの…」
F乃さん 「そんなお金、どうでもいいわ…みんなで仲良く分けてね…」
と、いうことでF乃おばあさんは、5の要件に該当するので準確定申告が必要となります。
A造さん 「二人分か…大変だな…」
準確定申告しなかった場合はどうなるのか?
ではもし亡くなった人が準確定申告が必要なのにしなかった場合や、期限までできなかった場合はどうなるんでしょうか?
なんと、無申告と判定されると、「無申告加算税」が発生すると同時に、「延滞税」も発生しますよ~~!
因みに、税率は、
無申告加算税は、納付すべき税額50万円以下の人は15%、50万円超える人は20%です。
延滞税は、納付期限の翌日から発生し2ヶ月以内なら年2.7%、2ヶ月超えたら年9.0%です。
準確定申告の具体的なやり方教えてください!
準確定申告は、亡くなった人の死亡時の住所地を管轄する税務署に提出します。
そして相続人が複数いる場合は、原則として相続人全員で連署で提出してくださいね。でもそれが難しい場合は、方法がありますので税務署で確認してくださいね。
問題は申告の期限です!いつまでに申告が必要ですか?
その期限は、死亡を知った日(相続の開始があったことを知った日)から4ヶ月以内にしなければなりませんよ~~~!この期間がとっても短いんですぅ~~~!
みなさんご存じの通り、普通の確定申告は2月16日から3月15日までの期間に申告しますが、準確定申告は死亡した日によって2通りに分かれますので、注意してくださいね!
■1月1日~3月15日の間に死亡した場合
前年の1月1日~12月31日までの分と、今年の死亡する日までの分と、2種類の準確定申告をしなければなりませんから、気をつけてくださいね!
■3月16日~12月31日の間に死亡した場合
死亡した年の準確定申告の準備だけで大丈夫ですぅ、1種類だけですよ!
A造さん 「親父が亡くなったのが2月14日だから、6月の始め頃にはもう準確定申告しないとだめだな~~~それも、2種類の申告かぁ~~~」
B代さん 「そうですね、そして、お義母さんのほうは7月の始め頃には~~~こちらは1種類~」
E介さん 「すまんの~~~~でも、残した財産そこそこあるだろう?みんなで仲良く分けるんだぞ!」
F乃さん 「生命保険も少しはみんなで生活の足しにしてちょうだい!」
C子さんD太くん「おじいちゃん、おばあちゃん、ありがとう~~~~!天国でも仲良くね!!」
まとめ
A造さんは、早急に3種類の準確定申告をして、さらに今年の11月頃には相続税の申告も必要ですね、相続税は相続開始を知った日から10ヶ月以内ですよ~~~~~!A造さん、がんばれ!!!