50代の私たちは、親の病気や介護、そして看取り…と、さまざまな悲しいことや大変なことを経験していく年代ともいえます。
私も父が肝臓ガンでおととし亡くなりましたので、はじめて諸々の手続を経験しましたね…。
そして残された家族のフォローも結構大変です。悲しみを一緒に覆いながら、現実にはテキパキと処理をしていかないといけないので…。
F乃ばあちゃんを扶養にすることで決着ついた楽田家でしたが、いろいろ問題起きそうな気配です~~~!
親を扶養にするにしても条件がありますからね、ではちょっとみてみましょう!
今回のお話(この前編を知りたい方はこちらを先に読んでみてね!)
岐阜県中津川市にお住まいの、楽田A造さん(らくだえいぞう50歳)は、妻のB代さん(びーよ48歳)と娘のC子さん(しーこ25歳)と息子のD太くん(でーた20歳)の4人家族です。
でも実は最近A造さんのお父さんのE介さん(いーすけ享年80歳)が亡くなってしまって、お母さんのF乃さん(えふの73歳)が一人になってしまったので、みんなでこれからのことを相談しました。
とりあえず住む家は別居だけれど、生活費の援助をしながらA造さんの扶養に入るということになったんですね~!
ところがF乃ばあちゃんが作って売り始めた五平餅がバカ売れで、当初1日20個しか作ってなかったのに、2ヶ月経った今では1日100個作ってあっという間に完売するようになっちゃいました~~~~~!
A造さん 「あのさ~~1本300円やろから100個で3万円、材料費が約1万円やで、1日の売り上げは2万円ということになっとるんや~~!ほんで休みなしに働くF乃ばあちゃん、一ヶ月60万円もん収入があることになってまって~~~~」
B代さん 「元気なのはいいんやけどね、元気過ぎて往生こいてるぅ」
F乃ばあちゃん「なあに、元気やったらせやがいいやろ、迷惑かけてねぇし」
そこで、パレ子さん、扶養のまんまでいいんでしょうか?

F乃ばあちゃんお元気で何よりですぅ~~~!でもちょっと…いろいろ問題出てくるかもしれませんから、一つ一つ検討してみましょうね!
扶養の条件を再確認してみましょう

「扶養」は一般的な意味ではなくて、私たちの生活を底支えする社会保障制度の中で二つの意味を持っています。一つは「社会保険上の扶養」、そしてもう一つは「税法上の扶養」でしたね~~~!
社会保険上の扶養
私たちは生まれた時からみなさん健康保険に入っていますから、あんまり意識はしたことないかもしれません。
健康保険に入っているということは、いざ病気やケガを負った時に、診療費を全額払わずに診察や治療を受けることができますよ。だいたいの方は3割負担ですよね!
そして、この健康保険をお父さんが会社で入っていると、そのお父さんに扶養されていると認められた被扶養者は、自らは保険料を払わずに診療を受けることができるんですね。
これを社会保険上扶養されているといいます。
ではどういう条件を満たせばいいかというと
1 | ■親族の範囲が6親等内の血族と3親等内の姻族であること |
2 | ■扶養される人の年間の収入が130万円未満であること、
■60歳以上の場合は180万円未満であること(同居の有無により、被保険者との付加条件あり) |
3 | ■75歳未満であること(75歳以上は後期高齢者医療制度の被保険者となる) |
そして、F乃ばあちゃんは2ヶ月前は上記の条件を満たし、A造さんの扶養に2年間だけ入ることになりました。
まだその時はF乃ばあちゃん年金収入(78万円)だけで、五平餅は1日20本くらいしか作ってなくて、近所の人にただで振る舞ってただけだったので~~~~!
税法上の扶養
これは、お父さんが働いてたくさんのお給料もらうと所得税や住民税を払わなければなりませんが、その計算の時に扶養している親族がいるとその分控除があり、納める税金が少なくて済むってことなんです。
でも、誰でも彼でも扶養親族になれるかというとそうではなくて…
ではどういう条件を満たせばいいかというと
1 | ■親族の範囲が6親等内の血族と同居している3親等内の姻族であること |
2 | ■扶養される人の課税所得が38万円以下(給与所得者は103万円以下)であること
■65歳以上は公的年金控除120万円があるので、158万円以下であること |
3 | ■納税者と生計を一にしていること |
4 | ■青色申告者等でないこと |
これについては、1と4は全然大丈夫、3も別居しているとはいえ、A造さんからの援助もあったことから大丈夫だったんです!
問題は2です!五平餅の評判が余りに良くて、とうとうF乃ばあちゃん家の前で売ることにしたら、なんと1日100本売れ出してもう2ヶ月目に入っちゃったんです~~!
A造さん 「そこなんだよ!今、6月、母さんが元気なのは嬉しいんやけど~~~」
扶養の条件を満たしてないんじゃ…ないかな
まず、F乃ばあちゃんの最近の収入をおさらいすると、五平餅1本300円が一日100個売れて1日の売り上げが3万円です。そしてその材料費が1万円ですから、一日2万円の利益となって月60万円の収入なんです!!!
今、6月ですからこのペースでいくと、2018年の最後らへんでは、約500万円ってとこですかね~~~~!それに年金も78万円あるし~~~~!
B代さん 「F乃ばあちゃんに扶養してもらったほうがよかったりまったりして~~~~!」
C子さん 「まったく…」
F乃ばあちゃん「勝手に売れとるで~~~わっちは知らんし~~~」

あらま~~~~~!扶養どころではないですぅ~~~~!
では、今ここで手続きが必要なもの、改めて確認していきましょうね!
税法上の扶養を外れる場合について
これについては早急になにかをしないといけないということはないですよ。
A造さん、11月頃に会社に「扶養控除等移動申告書」という書類を提出して扶養控除の申請すると思うんですが、そのときにF乃ばあちゃんのことは書けないというだけです。
問題は社会保険上の扶養です!
社会保険上の扶養を外れる場合について
社会保険の方は年の途中でも、年間の収入見込みが130万円(60歳以上の場合は180万円)を超えることがわかった時点で扶養を外す申告が必要になってきます。ここは要注意ですぅ!
例えば一ヶ月の収入が15万円になると、×12ヶ月で180万円超えることの予想がつきますよね、そしてこれからも継続して同じか、それ以上の収入が見込める場合は5日以内にその旨を健康保険組合等に伝えなければならないんです!
A造さん 「やってまった~~~~~!はや2か月も経ってる~~~~!180万円どころじゃないし」
そして、F乃ばあちゃんはA造さんの扶養を外れて、国民健康保険に入らなければいけませんのでね、そこも押えててくださいね!
扶養控除や社会保険との関係で、2018年に変更になったところはありませんのでご安心くださいね!
2018年に変ったのは配偶者控除と配偶者特別控除です。詳しくはこちらを参考にしてくださいね!
まとめ
長年連れ添ったご夫婦のうち、片方が亡くなった場合のもう片方の心持ちは、ほんとに人さまざまです。絶望感に打ちひしがれる人、はたまた喪失感から食べることを忘れる人、悲しみすぎて顔にしみがいっぱい広がる人、これ全部うちの母です…。
一方、お一人様となってイキイキと飛び回る人もいらっしゃいますね~~~!
あんまり悲しみ過ぎるのは周りからみてても、本人がダメになってしまいそうなので、辛いです…。
でも家族は悲しみを横に置いておいて、必要な手続きをしていかないといけないのですから大変ですが、頑張るしかありません。
もし、複雑で混乱しそうな時は、市役所や町役場、法テラスなど気楽に相談してくださいね!