ちょっと古いデータですが、2010年に国立社会保障・人口問題研究所のデータによると、49歳の時点で子どもがいないご夫婦の割合は、7.5%、その中で年齢や健康上の理由で子どもができないご夫婦が53.1%なんですって~。
ご夫婦二人きりでも、若いうちはそんなに気にならないみたいですが、だんだん年齢が人生の折り返し地点を通過しようとする頃になると、「相続」について一抹の不安が、頭をよぎるようですね~。
そこで今回は、お子様がいない場合の相続について、兄弟にも相続権があるのか?でも、死亡してたらどうなるのか、代襲って何だろう、楽田さんご家族のケースで抱える問題をみてみましょう。
今回のケース(下記の事情以外は考慮しないこととしますね!)
楽田A造さん(らくだえいぞう55歳)は妻のB代さん(びーよ50歳)と結婚して早30年、子宝に恵まれなかったものの、幸せに暮らしていました。週末になると二人でドライブして、道の駅をめぐったり、お蕎麦を食べたり~と、夫婦水入らずの生活を楽しんでいました。
あと、A造さんのご家族は、もう、お父さん(E介じいちゃん)もお母さん(F乃ばあちゃん)も他界してましたので、弟のN平さんがいるだけです。
因みに、N平さん(えぬへい50歳)はT子さん(ていこ45歳)と結婚して、O馬くん(おうま15歳)という一人息子がいます。N平さんはA造さんと違い、チャランポランで大口たたくおっさんですが、奥さんのT子さんには、めっぽう弱くて、そんな中で育ったO馬くんは、この両親を反面教師に育ってますので、無口で気弱なやさしい性格に育ちました。
A造さんとN平さんは土木工事現場で一緒に働いていて、毎日A造さんが運転する車で通勤していました。そんなある日、凍てつく寒さの朝、A造さんの車がブラックアイスバーンになっていた道路でスリップ横転ししてしまったのです。
なんと、助手席に乗っていたN平さんは即死、運転していたA造さんは、ちょっと生きてましたが、救急車が到着して救急隊員の呼びかけに、一言「B代…愛してる…ごめん…」って言って死んでしまいました。
N平さんが死亡してから、20分後のことでした。
B代さん 「あなた~~~~~!私を一人おいていかないで~~~~~~!」
A造さん 「ごめん、ホントに残念だ…B代一人置いていくのは、ホントに残念だ…ごめん」
T子さん 「あんたぁ!三途の川渡るのはまだ早い!戻ってきなさい!」
N平さん 「オレ?死んだの?えっ、ほんとに死んだの?ウソでしょ!やばいわ!!」
O馬くん 「お父さん…戻ってきてください…お母さんと僕を置いていかないでください…」
パレ子さん!なんてことでしょう~~~楽田家の存続が~~~~やばいですぅ!

本当に!残されたご家族のためにも、パレ子、冷静にがんばります!!
兄弟にも相続権はあるんですか?

まずA造さんはN平さんと違って、コツコツ貯めながらB代さんとの生活を慎ましやかに楽しんでいましたので、財産はタップリ残しました。因みに、土地建物(土地3000万円、建物1500万円)預貯金(3300万円)です。
これに対してN平さんは、借家住まいで、預貯金5万円(まあ、ゼロと同じですね!)ですぅ。
A造さん 「B代、生きてる間に何にもしてあげられなかったけど、ごめん…」
B代さん 「なに、いってるんですか~私はA造さんにいっぱい幸せいただきましたよ~」
N平さん 「T子、生きてる間に何にもしてあげられなかったけど、ごめん…」
T子さん 「ほんとに何にもしてもらってないわ、はよ戻って来い!!!!」
O馬くん 「お母さん…お父さんはもう………(泣き)」
まあまあ~とりあえず、法律的なことお話しますね!
まず、第1順位の相続人として、配偶者と子があげられます(民法890条、887条1項)から、まずA造さんの配偶者であるB代さんは、相続人、確定となります。
次に第1順位の相続人のうち、子どもだけがいる場合は例外がないのですが、子どもがいなくて配偶者だけがいる場合は、例外として相続人は第1順位の配偶者と、亡くなった人の親(直系尊属、889条1項1号)が第2順位の相続人となります。
そして、子どもはいないし親もいない場合には第3順位の兄弟姉妹が相続します(889条1項2号)。
ではA造さんご夫婦についてみてみますと、お子さんはいなくてご両親も他界されてますから、A造さんの弟であるN平さんが相続人となりますね。
T子さん 「ちょっと待って~~なんぼ呼び戻しても、うちの旦那、帰ってこないんよ~~」
相続権あるとしても、死亡してては?
そうです!N平さんもA造さんとほぼ一緒に死んじゃったんでした~~~~!
T子さん 「え~~~~、そしたら、相続権あるっていったって、絵に描いた餅でしょ~~~~!」
B代さん 「………(^_^;)」
A造さん 「………(^_^;)」
N平さん 「すんません…」
O馬くん 「お母さん…お願い…」
大丈夫ですよ~、代襲相続がありますから~~~!
代襲相続ってなんですか?
代襲相続(民法887条2項)とは、相続の開始よりも前に相続人が死亡している場合に、その相続人の子どもが代わりに相続人になるという制度なんです。
ですから、N平さんは、A造さんよりも20分早く亡くなっているので、相続の開始よりも前に相続人が死亡している場合に当たり、その子どものO馬くんが代襲相続することになります。
では、財産はどんな割合で相続することになるのかみてみましょう。
A造さんが残した財産は、土地建物(土地3000万円、建物1500万円)預貯金(3300万円)ですから、全部で7800万円になります。それを法定相続分でそれを分けると、配偶者が4分の3、兄弟が4分の1となりますので、N平さんの息子のO馬くんには、預貯金のうちの1950万円を分けるのが良いかと思います。
そしてそれぞれの相続税ですが、相続財産総額7800万円からまず、基礎控除分を引きます。
基礎控除分は、3000万円+600万円×相続人の数
で計算しますから、今回は、3000万円+600万円×2人=4200万円が基礎控除分となります。
そうすると、7800万円-4200万円=3600万円が課税遺産総額になりますので、これを配偶者4分の3,兄弟4分の1で分けます。その結果、B代さんが2700万円、N平さんの息子O馬くんが900万円ということになりますね~。
ですから、B代さんは配偶者控除で、0円で相続税は払わなくていいですよ~
O馬くんは、900万円×0.1-未成年者控除(10万円×5年)×1.2(2割加算)=48万円を、相続開始から10ヶ月以内に払う必要があります。
B代さん 「あなた…最後まで本当にありがとう…私はこれからあなたとの思い出を胸に生きてまいります。」
A造さん 「ずっと天国から、B代をみてるよ…愛してる」
N平さん 「オレも、ずっと天国から、T子をみてるよ…愛してる」
T子さん 「見てなくていいから!サッサと消えて!」
O馬くん 「お母さん…お父さんかわいそうだよ~天国に行けないよ~」
まとめ
もうN平さんたら~~、T子さんも~、でも生きてる時の生き様は、死んでからあからさまになっちゃいますね~。なので、私達も「終活」だっていっていきなりかしこまるんじゃなくて、日々の生活の中で、自分の人生を見つめ直すことも大事ですね!
ところで、相続税に関して大きな改正がこれからあります。残された配偶者の生活が脅かされないような改正ですから、またその法律が施行されたら、このブログでもご紹介しますので、楽しみにしててくださいね!