相続が始まり、腹違い兄弟の取り分は?

ここ数年、児童虐待のニュースがたびたびテレビで流れて、残念なことに命を落としてしまう子が後を絶ちません。ほんとに胸が痛くなることが多いですぅ。そして、その家族の形態もさまざま~、長男は前の夫との間にできた子で、次男は今の夫とか~その中で子どもが泣くから、泣き止ませようと…云々かんぬん…。


そんな家族の形が変わってきたことにつれて、法律に対する考え方も変わってきて、それに合わせていよいよ民法の大改正もついに施行になりますね~今回は古い時代からある腹違いの兄弟にスポットを当て、相続について見てみましょうね。

今回のケース(下記の事情以外は考慮しないこととしますね!)

楽田A造さん(らくだえいぞう55歳)は妻のB代さん(びーよ50歳)と娘のC子さん(しーこ25歳)と息子のD太くん(でーた20歳)の4人家族で一見、幸せそうに暮らしていました。A造さんは一流会社のサラリーマンで、今総務部長さんをしています。B代さんは専業主婦として週に何回かはランチに行くという生活…(うらやましいですね~3000円以上のランチですって~)C子さんは銀行にお勤めして3年経ち、D太くんは、某一流大学の2年生です。

そんな一見、幸せそうな家族に突然悲劇が訪れます。A造さんが乗ってるベンツが突然急発進して、人混みに突っ込んでしまったんです。あとからわかった事実が、なんとA造さん大動脈解離を起こして意識不明のままアクセルをグイーンと踏んづけて~~~~~~そのあとの事故処理も大変なものでした。

でも、もっと大変なことが起こります。なんと、A造さんの愛人と隠し子が登場です。その名も、K子さん(けいこ35歳)とJ大くん(じぇーだい7歳)です。

K子さん  「私、A造さんには生前大変お世話になっておりました…。A造さんの忘れ形見を大事に、一人で生きてまいります…」

J大くん  「お父さん、天国に行ったの?ぼく、ぼくも天国行く…」

B代さん  「なんてこと!一人で生きるとかなんとか~何でもいいけど、しおらしく言ってるその内容、おかしいでしょ!パパはそんな人じゃないわよ!デタラメもいい加減にして!それに一人で生きて行くって言ってるけど、じゃあなんのためにきたの?財産が欲しいからでしょ~~~」

C子さん  「え~~~~~~~~~~~~~、私に、もう一人兄弟?」

D太くん  「姉貴!兄弟って…弟は俺一人で十分だろう~~何言ってんだよ~~!財産はオレが継ぐんだからな!」

パレ子さん!この事態、信じられません! 間に入ってなんとかことを納めてください!

ハア~~~~イ!ちょっと、皆さん信じがたいでしょうけど、この事態なんとかパレ子がんばります!


そもそも相続する権利はあるの?

A造さんの愛人K子さんが連れてきたJ大くん、そもそもA造さんの子であれば、今回A造さんが亡くなったことで、A造さんの財産を相続することになりますねぇ。

この点、B代さん達ご家族には残念ですが、A造さん遺言で認知(民法781条2項)していましたぁ~。認知の仕方も届け出る方法と、遺言でする方法と二つあって、A造さんは公正証書遺言の中に、キッチリJ大くんを認知してました。兄弟が増えちゃいましたね!

K子さん  「良かった~一応念のために頼んでおいて~」

B代さん  「えっ、なんですって??」

K子さん  「いえ、A造さんはキチッとした性格でご立派な方でしたから~」

因みに、A造さんは一流会社で総務部長さんをしていましたから、財産は、ほんとの、いや建前、いや形だけ、いや戸籍上の家族が住んでた土地建物(土地5000万円、建物3000万円)、愛人さん家族が住んでたマンション(3000万円)有価証券等(3000万円)預貯金(3000万円)です。

ところで、A造さんの遺言には、他に相続について何か書いてありましたか?

A造さんの遺言には、家族が住んでた土地建物(土地5000万円、建物3000万円)はB代に、マンション(3000万円)はK子に、あとはみんなで仲良く分けなさいと、記してありました。

C子さん  「仲良くって~~誰と仲良く~~~?この子も入れてってこと~~~」

D太くん  「やだよ、仲良くなんかなれる訳ねえじゃん!!腹違いの弟となんか~」

相続権あるとしても腹違いの弟ですよ~~!

B代さん  「もうめんどくさいから、J大くんとやらに5~600万ほどあげて、それでいいでしょ!終わり!」

C子さん  「私も、めんどくさくなってきた!いいわよ、それで!」

D太くん  「オレはいやだね、100万円で十分だろ~オレの分がなくなる!」

以前であれば、有価証券等(3000万円)預貯金(3000万円)を法定相続分で分けるとして、配偶者であるB代さん10分の5、C子さん10分の2、D太くん10分の2、J大くん10分の1とすれば、J大くん5~600万円でバッチリかもしれません。

でも、実はこの点について法改正があったんですぅ。

改正前は腹違いの子、すなわち非嫡出子の相続分は、嫡出子の半分となっていたんですが、平成25年12月に改正されたことで、腹違いの子も、相続分は同じになりました。ですから、配偶者であるB代さん6分の3、C子さん6分の1、D太くん6分の1、J大くん6分の1となります。

この割合で有価証券等(3000万円)預貯金(3000万円)を分けると、

B代さん 3000万円

C子さん 1000万円

D太くん 1000万円

J大くん 1000万円  となります。

 

K子さん  「J大、お父さんにちゃんとお礼を言うのよ!」

J大くん  「お父さん、遺言書いてくれてありがとうございます。ぼく、勉強がんばってお父さんみたいに一流会社に入って、お母さんを幸せにします。」

B代さん C子さん 「………ずいぶんしっかりしてるわ…」

D太くん  「オレは認めない、絶対認めない!」


まとめ

因みに、K子さんは相続人ではないので、A造さんの遺言により3000万円のマンションを遺贈されたとういうことになります。そうすると、法定相続人でない人が遺贈を受けた場合、不動産の登録免許税は2%、不動産取得税は4%、かかりますし、相続税も2割加算となりますので、K子さんは、ちょっと大変かもしれませんね。

しっかり自分の人生を歩んできた人は、今回のA造さんのように、何かの節目に遺言を書いておくこと、大事です。皆さん、誰もが自分が突然死んでしまうなんて考えてないですよね~でも、突然やってくるんです、特に悲しいことは……ね。B代さん達もA造さんが遺言書いてたことで、仕方ないってあきらめがつくのも早かったですもんね!

安らかにお眠りください…A造さん