孫やいとこは相続できんのん?順位はどないなんのん?

ここ何十年かで、家族の形がどんどん変わってきて、昔ながらのおじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、子ども達という形も、かなり細かくなったり、孫やいとこや…いろいろ多様化してきてます。
そうすると、ある人が死亡した場合の相続の場面でも、すんなり収まるところに収まるというよりは複雑になって、そこからトラブルも起きやすくなっていますよね~。
そこで、今回は、孫、いとこの観点から、相続、その順位をみていきましょう。

今回のケース(下記の事情以外は考慮しないこととしますね!)

大阪に住む骨董品収集が趣味の楽田A造さん(らくだえいぞう55歳)は妻のB代さん(びーよ50歳)とシングルマザーで子どもを授かりながら、ガン闘病の末昨年亡くなったC子さんの忘れ形見、孫のHくん(えいち3歳)と3人で暮らしていました。Hくんもおいじいちゃんおばあちゃんを慕い幸せな毎日を送っていましたが、A造さんが少し前から具合を悪くして寝込むようになったため、B代さんはこれからの生活にとっても不安をかかえていました。

というのも、近くに住むA造さんの弟N平さん(えぬへい50歳)が、何かと口うるさく生活に首を突っ込んでくるからです。N平さんは、奥さんを亡くしたあと一人息子のO馬くん(おーま20歳)と二人暮らしですが、定職に付かず、生活は息子のO馬くんの給料でなんとかやってる、そんな感じのおっさんです。

それで、なぜA造さんの家族に口うるさく言ってくるかというと、A造さんはN平さんに勧められて骨董品収集を始めたのですが、根が真面目で勉強家のA造さんはその目利きに力を発揮して、そこそこの財産を築きあげたからN平さん鼻をクンクンしてるわけです。これに対し、N平さんは行き当たりばったりの人生…言わずもがな…ですね。

そうこうしているうちに、A造さんがいよいよ具合悪くなってきました。そして、N平さんも病院には行ってませんが、体調が思わしくなく弱気になったことから、B代さんに暴言を吐きます。

N平さん   「あのな、兄貴が集めた骨董そこそこあるやろ~、あれなオレが兄貴にアドバイスしてもうけたもんやねん、せやから、もし、兄貴になんかあったら、それ全部おれのもんやからな、わかったな!」

B代さん   「ちょっと待って~や!そんなん聞いてへん、あんた何あほなこというてんのん!」

孫Hくん   「ばあば、じいじ、お腹すいたし~」

天国のC子さん「はあああああ!N平のおっちゃん何ふざけたこと言うてんのん、いい加減にし~や!ほら、いとこのO馬!あんたもちゃんとお父ちゃんに言い含め~や」とO馬くんをにらんでいます。

いとこのO馬くん、なんや知らんけど寒気して…「親父、頼むから静かにしといて…ほんまに頼むさかい…」

ねえねえパレ子さん~~~!この事態B代さん乗り切れるかしら~~~助けて!

大丈夫ですよ~~!私に任せて~~~!一個一個整理していきますね!

ちょっとその前に、A造さんのすべての財産を、収集した骨董品の財産的価値4000万円で考えますね!

相続の権利、弟や孫にも、ありますか?

 

まず、弟に相続権ありますか

まず、人が亡くなったらその人の財産について”相続”が始まります。相続は、プラスの財産もマイナスの財産も、み~~んな相続人にいきます。そして、相続の順位は、第1順位が、配偶者と子でしたね。

そして、子がいない場合に第2順位の親が出てきて、その親もいない場合に初めて第3順位として兄弟が出てきます。

B代さん   「ほんなら、C子が去年死んでるから、N平のおっさんに旦那の財産取られてまうんやろか?」

N平さん   「ハッハッハッハッハッ~~~~~~ほ~らみてみい~~正義は勝つ!」

天国のC子さん「嘘やろ…」

孫Hくん   「ばあば、お腹すいたし~~っ!」

孫の相続権、ありま~す!

大丈夫ですよ!代襲相続(民法887条2項)という制度がありますから、相続に関して第1順位のC子さんの分は、のHくんにそのままいきますから、第3順位の弟であるN平のおっちゃんは出る幕ありませんよ~!

B代さん   「まったく心臓止まるわ~~、パレ子さん堪忍やで~脅かさんとって~~~」

N平さん   「ボケ、カス、パレ子、アホぬかすな~~~オレは負けへんぞ~」

天国のC子ん 「ボケ、カスはどっちや~~~!なあ、パレ子さん!」

ということで、今回の相続分は、

B代さん2分の1、Hくん2分の1となりますので、具体的な金額は、

B代さん   2000万円

孫Hくん    2000万円となります。

孫Hくん   「2000万円でアイスかって~~~」

ところで、いとこはどうなりますか?

では、いとこであるO馬くんがA造さんの財産について相続できるようなことはありませんか?

はい、実はHくんがいない場合にいとこのO馬くんがA造さんの財産を相続できることになります。

もし、C子さんもHくんもいない場合、A造さんの財産は配偶者であるB代さんと、第3順位のN平さんに相続権があり、もしN平さんも既に死亡している場合は、N平さんの相続分をO馬くんが代襲相続することになります(887条2項、889条1項2号、同2項)。

この場合の割合はB代さん4分の3、O馬くん4分の1になりますので具体的な金額は、

B代さん      3000万円

いとこのO馬くん  1000万円となります。

B代さん    「O馬、あんたも苦労してたからね~これで、嫁もろうて幸せになるんやで!」

いとこのO馬くん「B代おばちゃん…ほんまにすみません…C子さんもう化けて出てこないで、おねがいやから…」

まとめ

ちょっと複雑な相談でしたから、皆さん、スッキリ理解していただけたでしょうか?

相続問題では、法律に則って粛々と争いもなく財産を分けれたら良いですが、事前の知識が不十分なまま、遺言を書いてしまって、または書かされてしまって、それが後々まで争いを複雑にしかねないことがあります。そして、子どもがいない場合、兄弟が出てきて、スッタモンダになっている事がよくあるんですね…。

また、財産はないと軽く考えている人も多いです。財産は今回の骨董品はあくまで事例の一つとして捉えて欲しいのですが、現金、貯金だけでなく、不動産や有価証券、事業用財産(農機具や商品)、生命保険や退職金、立木…いろいろあります。

ですから、人生の後半戦に入ったら、一度、自分の周りを見渡してみるのも良いですね!