人が死亡して相続が始まると、これまで幸せに暮らしてた家族も、その出来事一つで仲違いが始まったり、もめて口をきかなくなったり、はたまた、縁が切れて家族がバラバラになってしまったり。
そして、最近は、「遺留分」という言葉も聞きますよね~
また、相続始まってお孫ちゃんももらえる権利ってあるの?と、いろいろ疑問も沸きますよね。
そこで、あるケースを通して問題になっている事を見てみましょう
今回のケース(下記の事情以外は考慮しないこととしますね!)
楽田C子さん(らくだ しーこ25歳)は、父、楽田A造さん(らくだ えいぞう55歳)と母、楽田B代さん(らくだ びーよ50歳)と、シングルで産んだ子ども楽田Hくん(らくだ えいち3歳)と4人家族でしたが、娘のC子さんは乳がんで1年前に亡くなり、母B代さんがC子さんの代わりに孫Hくんを育てていました。
そんなある日、父A造さんが交通事故で亡くなり、母B代さんが途方に暮れていたところ、なんと父A造さんが公正証書遺言をしていることが発覚したんです!そして、さらにその内容が、なんと愛人K子さん(けいこ45歳)に全財産(貯金2000万円)をあげるというとんでもない内容だったのです。
母B代さん 「信じられない、私はずっ~~とだまされてたのね!こんな裏切り絶対許せない!」
天国にいるC子さん「はあああああ~!」
孫Hくん 「ばあば、ママはどこ?じいじはどこ?お腹すいた~」
ねぇねぇ、パレ子さん、これってひどくな~~~~い!!!

「大丈夫ですよ~B代さんちょっとだけ安心してくださいね、ちょっとだけ~~~」
相続が始まったときの遺産の分け方どうなるの?

ある人が死んだら”相続”が始まります。そして相続はプラスの財産もマイナスの財産もみ~~んなみんな相続人にいきます。貯金だけじゃなく借金もね!
そして相続のやり方は、■遺言があれば、まずそれに従うことになります。そして■遺言がない場合や、遺言が無効の場合、■家族みんなで話し合いをしてもいいし(遺産分割協議)■法律(民法)に従って分けてもいいですよ~
今回■遺言があるので、その遺言に従うことになりますから、2000万円を愛人のM子さんがもらい、母B代さんの家族は0円と言うことになります。
母B代さん 「私を裏切って、絶対許せない、これからHとどうやって生活したらいいの~~」
天国にいるC子さん「これから、お父さんが天国に上がってきたら、蹴っ飛ばして地獄に落としてやる!」
孫Hくん 「ばあば、ママはどこ?じいじはどこ?お腹すいた~」
ですよね~~~
そこで、「遺留分」が出てきます。
「遺留分」って何?そんな制度があるの?
「遺留分」(民法1028条)とは、法定相続分を侵害された相続人が、本来の相続分の半分を請求できることを言います。
ではC子さんの家族はまずハチャメチャな遺言を無視して本来の■法律通りでいくと、その取り分の割合は
母B代さん 2分の1、
孫Hくん 2分の1になります。
あれ?孫Hくん、相続人として遺産もらえるの?って疑問がわきますよね~~~。
お孫ちゃんも相続できますか?
ここで、ちょっと説明しますね!
C子さんの子どもHくんは、父A造さんからみると孫に当たります。もし人一人亡くなって、その家族に妻と子どもがいる場合は、子どもの子ども、つまり孫は相続人とはならないのが原則です。でも例外があって、子どもが先に死亡している場合はその子どもの分を孫がそのまま相続することが出来るんですよ。
これを代襲相続(民法887条2項)と言います。
なので、孫Hくんは、お母さんのC子さんの分をそのまま代襲相続することができるのです。
具体的な金額は、もし今回の遺言がなければ、
母B代さん 1000万円
孫Hくん 1000万円
相続できるはずでしたが、ハチャメチャ遺言がでてきたので、
母B代さん 500万円
孫Hくん 500万円
を遺留分としてを請求することができることとなります。
母B代さん 「500万円……Hの分と合わせて1000万円……本当なら2000万円のはず……はあ………やっぱり許せない!」
天国にいるC子さん「これから、お父さんが天国に上がってきたら、往復ビンタして、首しめてやる!」
孫Hくん 「ばあば、ママはどこ?じいじはどこ?お腹すいた~」
まとめ
遺言って、遺言する人が生きている間に、その人を取り巻く周りの人への思いを残すものですよね…。なので、今回のA造さんが、公正証書にしてまで残した遺言は、単なる思いつきで残したというよりは、詳しい内情は判りませんが、家族より愛人のK子さんが大切だったんでしょう…。
因みに、遺言は大きく分けて3種類あります。
■自筆証書遺言(民法968条)■公正証書遺言(969条)■秘密証書遺言(970条)
この中で■公正証書遺言は、遺言者が公証役場まで出向き2人以上の立ち会いの下、公証人に直接話して作成されるので、他の■自筆証書遺言や■秘密証書遺言とは違い、相当の固い意志の遺言だったようですね。
父A造さん、よほど家族に財産あげたくなかったのかしらね…。
まあそれはそれとして、遺留分請求という制度は、そんな遺言者の意志も尊重しながら、一定程度家族の権利も保障しましょうというバランスを取った制度ですね!