ここ何十年かで、家族の形がどんどん変わってきて、昔ながらのおじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、子ども達という形もかなり多様化してきてます。血のつながりという概念も人により、濃すぎたり、希薄になったり… そうなると、ある人が死亡した場合の相続の場面でも複雑になって、そこからトラブルも起きやすくなっていますよね。
そこで、今回は、実子、養子の観点から、相続、その順位をみていきましょう。
今回のケース(下記の事情以外は考慮しないこととしますね!)
とある田舎の代々続く資産家の楽田A造さん(らくだえいぞう45歳)とB代さん(びーよ45歳)ご夫妻は、なかなか子宝恵まれなかったことから、このままではお家が絶えてしまうと危惧し、夫婦で相談をして養子を迎えて幸せに暮らしていました。
まず、C子さん(しーこ今現在18歳)を10歳のときに、D太くん(でーた今現在17歳)を10歳のときに、それぞれ肉親から虐待されて保護されていた児童養護施設にいたところ、養子縁組をして引き取りました。そうすると不思議なもので、ポコッと自分たちの子どもも産まれまして名前をQ太郎(きゅうたろう今5歳)といいます。そしてA造さんB代さんご夫婦ははもともと子ども好きだったものですから、つい最近も、身寄りのないかわいそうな3歳のL美ちゃん(えるみ)を養子に迎えました。そして、とっても仲良く6人で暮らしていたところ、A造さんが膨大な農地をトラクターで耕していたところ、突然の雷に打たれ、即死してしまいました。
B代さん 「お父さ~~~~ん、私達を残して…これから、私はどうすればいいの!」
C子さん 「私、大学行かずに、農場をやる!」
D太くん 「ぼくも高校やめて、農場を手伝うよ!」
Q太郎くん「ぼくも、しょうがっこういかないで、トラクターにのる!」
L美ちゃん「おとうちゃん、どこいったの?」
ねえねえパレ子さん~~~!楽田家のみなさん、涙が出ますぅ~~~いい子達ですね~

はい~~!では今回は争いもないことから、基本的な法律関係をお話しますね!
養子はそもそも相続権はあるの?

Q太郎くんはA造さんB代さんの実の子ども(実子)ですから、A造さんが亡くなったことでA造さんの財産をなんの問題もなく相続します。
でもC子さん、D太くん、L美ちゃんは養子ですよね~この3人はA造さんの財産をそもそも相続することができるんですか?なんとなく養子も実子と同じく楽田家の子どもだから~~なんていつもは深く考えませんが、ちゃんと民法に書かれてますからね~安心してください!
民法809条に「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。」ってね!「嫡出子」って言うのは、結婚している二人の間に生まれた子どもって言う意味だから、養子も縁組した日からその子どもと同じですよ~ってことなの!
なので、C子さん、D太くん、L美ちゃん、安心してね~3人とも、A造さんの子どもとして相続権はバッチリありますからね~
B代さん 「お父さん…良かったわね…みん~な同じだって…でも、なんでこんなに早く逝っちゃったの…」
C子さん 「…ほっ、私がお母さんを助けて、Q太郎もL美も面倒みるから~」
D太くん 「…ほっ、僕が朝、学校行く前に農場の手伝いするよ、」
Q太郎くん「ぼくも、がっこういくまえに、トラクターのる!」
D太くん 「おまえ、まだ学校行ってないだろ!」
C子さん「ハイハイ、Qちゃんもがんばるもんね~」
L美ちゃん「おとうちゃん、お空にいったのね~L美も高い高いした~い!」
B代さん「…………(泣)」
あるとして養子の順位はどうなるの?
先ほどもお話しましたが、養子も嫡出子なので皆同じですから、養子が嫡出子に遅れるとかそういう順位の問題は起きませんから、皆さん安心してくださいね~
なので、今回のそれぞれの相続分の割合は、
B代さん 2分の1
C子さん 8分の1
D太くん 8分の1
Q太郎くん 8分の1
L美ちゃん 8分の1 となります。
みんな同じだけの権利があって、楽田家、一安心ですね~
でも、C子さんD太くんはそれぞれ10歳のときにA造さんB代さんご夫妻の養子になりました。そしてL美ちゃんは3歳と養子になった年齢が違いますが、これって何か違いがありますか?
養子も2種類あるので、気をつけてね~
実は養子を迎える親子関係には、普通養子と特別養子があります。この2つには、大きく2つの違いがありますので、気をつけてくださいね!
一つ目は、養子にできる年齢に違いがあります。
普通養子は、養子になるのに年齢制限はありませんが、特別養子の場合は原則、6歳までに縁組みを行う必要があります(8歳までの例外あり)。これは、特別養子をその子の保護の観点から一見実子と変わらないようにするためです。
なので、特別養子は戸籍も実の親子と同じように記載されます。これに対して、普通養子は、戸籍にしっかり、養子縁組の事実が書かれますからね…もし養子の事実を隠していた場合は、住民票や戸籍謄本、抄本等を取るような年齢になったら、気をつける必要がありますね!
2つめは、実親との関係に違いがあります
特別養子の場合は、産んでくれた実親との親族関係は断絶してなくなります。
これに対して、普通養子の場合は、実親との関係はなくなりませんから、普通養子は、法律上の親子関係が2つあることになります。つまり、親が亡くなり相続が発生すると、実親の分も相続するし、養親の分も相続することになるんです。
楽田家では、C子さんD太くんは普通養子、L美ちゃんは特別養子のようですね~
B代さん 「うちでは、4人ともお父さんと私の子だから~」
C子さん 「10歳のとき、今のお父さんとお母さんのところにきたこと忘れない!」
D太くん 「僕も…お父さんの笑顔、絶対忘れない!」
Q太郎くん 「C子ちゃんもD太兄ちゃんもだ~~~~いすき!」
L美ちゃん 「L美も、C子ちゃんもD太兄ちゃんもだ~~~~いすき!」
まとめ
ウルウル…
なんか心温まりますぅ~!
ところで、ちょっと、気になることを最後お話しますね。
C子さんD太くんは普通養子ですから、実親との法律上の関係が残っています。そうすると、A造さんのプラスの財産を相続したとしても、実親にマイナスの財産があれば、それも相続することになりますので、要注意!
また、相続税対策のことで、養子の扱いが相続とは異なりますので、少しお話しますね!
相続税を納めるにあたり、基礎控除額が平成27年1月1日にか改正され、
となりました。そして、この法定相続人の数に養子を含めることが制限されています。実子がいる場合は養子は1人、実子がいない場合は養子は2人までしか、含めることはできません。因みに特別養子は、この場合は実子と同じ扱いになります。
なので、農地、農器具等資産がたくさんある楽田家では、この相続税の基礎控除に養子の分全部含めたいところですが、実子、特別養子がいらっしゃるので、養子は1人だけ控除対象に含まれます。
これからも、楽田家の皆さん、仲良くお幸せにね!