私も3年前に父を送りました。姉妹の長女の私は、初めての葬儀で悲しみを心の奥底にしまい鍵をかけて一週間を過ごしたのを覚えています。
突然の出来事だとしても、相続が始ったらさまざまな手続きの期限がやってきます。
そして、その手続きは期限を過ぎても大丈夫なのか、それとも期限は厳守なのか、わからないことが多いですね…。
そこで今回は、相続が始ってから残された家族がやらなくてはならない手続きに期限はあるのかないのか、あるとすればそれはいつまでにやらないといけないのか、やらなかった場合はどうなるのかをまとめてみました。
今回のケース(下記の事情以外は考慮しないこととしますね!)
楽田A造さん(らくだえいぞう50歳)は妻のB代さん(びーよ50歳)と娘のC子さん(しーこ25歳)と息子のD太くん(でーた20歳)の4人家族で幸せに暮らしていました。A造さんは、普通のサラリーマンで、B代さんは専業主婦、C子さんは銀行に勤めて3年経ち、D太くんは、某私立大学の2年生です。
いつもように平凡だけど、なにも起こらないのが幸せという楽田家の朝、
A造さん 「行って来ます~~!」
B代さん 「あなた~いってらっしゃい~~~!」
ところがB代さんが家事を終えて一息ついたとき、A造さんの会社から当然の電話が…。A造さんが会社で倒れて救急車で病院に運ばれたと…。
そして、家族が病院に着いて間もなくA造さんは天国に旅立って行きました。
B代さん 「あなた~~~~!なぜ、目をつむっているの~~~~!」
C子さん 「パパ~~~~!私とバージンロード歩くっていってたじゃない!」
D太くん 「おやじ~~~~!頼むよ~~~オレまだ一人前になってないんだぜ~~~!」
と、余りに突然のことですが、悲しみをさて置きやらなければならないことがいっぱいです!
パレ子さ~~~ん、楽田家のみなさんを助けてくださ~~~い!お願いします!

ほんとに大変なことですぅ~~~~!かしこまりました~~少しでも楽田家のみなさんのお力になれるようパレ子がんばります!!
相続が始った…どんな手続きをしないといけませんか?

お葬式、初七日が終わって一息つく間もなく、家族の中で一番のしっかりさんがやらなくてはならない手続きを始めることになります。
まず期限が、法的に定められてないものとしては、遺産分割協議、不動産の相続登記、預貯金の解約や名義変更などがあります。
では期限が決められている手続きは?
B代さん 「パパの机の中から、遺言書が見つかったんだけど…」
C子さん 「えっ?なんて書いてあったの?」
D太くん 「見せて、見せて、僕にも見せて~~~~!」
ちょっと待って~~~~~~~!開けちゃダメ~~~~~~~!
●遺言書の検認手続き
遺言書を保管してたり発見された場合、その検認の手続き(民法1004条、遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続)は、相続の開始を知ったあと、遅滞なく裁判所に請求しなければならないんですぅ!
なぜなら、遺言書の中には遺された財産に関することや、身分に関することが書いてあります。
これらは人の権利義務に重要な影響を与えますから、その遺言の存在と中身に関して裁判所が一役かむことになっているんですね。
D太くん 「あっぶね~~~~~~!」
●相続放棄、限定承認
相続放棄、限定承認(民法915条、922条)は相続があったと知った時から3ヶ月以内にしなければなりません。
●準確定申告(亡くなった人の所得税の申告)
A造さんの所得税の申告です、これは4ヶ月以内ですよ~~~、もう死んじゃってるからやらなくていいわとか、来年の2月の確定申告の時期にすればいいわ~~とか思っちゃダメですよ~~~~!
B代さん 「あらま~~そうなの~~~」
ただ、A造さんは会社員でしたから、会社で年末調整をしてくれればしなくても大丈夫です。
B代さん 「ほっ…じゃあ会社に確認だけはしておいた方がいいわね…」
●相続税の申告
相続税の申告は、相続が始ってから10ヶ月以内にしなければなりません。
もっとも、誰もがこの手続きをしないといけないわけではありませんから、大方の人は安心をしてくださいね~~!その目安は、相続税の基礎控除額から判断します。
楽田さんのお家では、法定の相続人がB代さんC子さんD太くんの3人ですから、
残された財産の全てが4800万円を越える場合は、四十九日過ぎたあたりから税理士さん等に相談してその申告を行いましょうね。
天国に行ったA造さん 「だ い じ ょ う ぶ だ ~」
その他には…
あと、ざっと1年以内には遺留分減殺請求、2年以内には埋葬料、葬祭費の請求、3年以内には死亡保険金の請求、5年以内には納め過ぎた相続税の還付請求などが、期限があります。
もし必要な手続きを期限内にしなかった場合はどうなる?
●遺言書の検認手続きをしなかった場合
検認の手続きは自筆証書遺言と秘密証書遺言の場合には必ずしなければなりません。
そして、速やかにしないで放っておいたり、開封してしまったりすると遺言は無効となってしまいます。そしてそのままで相続を行ってしまうと、5万円以下の罰金に課せられる(民法1005条)場合もありますよ~~~!
B代さん 「あらま~~うちは財産ないから~~~とかいい加減にしてたらダメだわね」
●相続放棄、限定承認の手続きをしなかった場合
これに関して楽田さんのお家では関係ないかもしれませんが、もし借金が財産を上回って相続放棄したいとしても、3ヶ月はあっという間ですから、期限を過ぎてしまうと単純承認をしたということになってしまいます~~~!
このことは民法920条に怖いことが書いてあります。
「相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。」って~~~!
D太くん 「ちょっと……無限だって…、おやじ借金してないよな~~オレ無理だかんね~~金ねえし」
●準確定申告の手続きをしなかった場合
ちゃんとしないと、加算税や延滞税取られますから気をつけて下さいね!4ヶ月ですからね!
●相続税の申告の手続きをしなかった場合
税金関係は、厳しいですよ!一日でも遅れたら、無申告加算税や延滞税がかかってきます!
《無申告加算税》
税務署に「申告してないでしょ!」って言われる前に払うのと、言われた後に払うのでも違いがあるんですよ~~!
言われる前なら5%だったのが、言われた後だと、無申告加算税が15%~20%に跳ね上がりますよ~~~!
例えば相続税が100万円だとすると5万円、もしくはグズグズしてたら15万円から20万円税金が上乗せされます。
《延滞税》
相続税の申告はしたものの、税金を払うのが遅れた場合は、2ヶ月までは年3%~4%延滞税がかかってきて、そして2ヶ月越えると年9%~10%かかってきます。
C子さん 「やっぱ、税務署さん、がめついわ~~~、容赦ないね~~~!」
まとめ
あと楽田さん、年金事務所に行って遺族年金のお手続きをしてくださいね。
A造さん一生懸命家族のために働いてくれてましたから、一応しっかり者のC子さんも、責任感の強いD太くんもいらっやいますが、残されたご家族が困らないように、もらえるものは頂きましょうね!