相続の手続きには期限があるけど、預金の場合はどうなるの?

人の人生に終わりがくるのは誰でも知ってます。そして必ずそのときはきます。でも、愛する家族の一人がそのときを迎えようとしているときに、冷静にその後のことを考えてサクサク手を打つというのは、日本人の気質からなんかな~血の涙もないとか言われそうですよね。

そこで、今回は、そんな場面に直面してから悩むのではなく、前もって知識としていれておいてくださいね!ってことで、家族の中で『相続』という文字がチラついたときに、執るべき手続きに期限があること、その中でも預金について、あるケースを通して勉強してみましょうね。

今回のケース(下記の事情以外は考慮しないこととしますね!)

ある地方に代々続く資産家の長男、楽田A造さん(らくだえいぞう55歳)は、妻のB代さん(びーよ50歳)しっかり娘のC子さん(しーこ30歳)のんびりやの長男D太くん(でーた25歳)ドライな次男Q太郎くん(きゅーたろう15歳)の5人家族です。A造さんは親から受け継いだ広大な土地と建物を複数所有しており、もちろん複数の銀行にも預金がたんまり…内緒ですが、あっちゃこっちゃ全部で預金3600万円あるそうですよ~~!。

楽田さん家族はとっても幸せに暮らしていましたが、そんなある日、A造さんが末期の肺ガンにかかっていることが判明しちゃったんです。A造さんB代さん達は、30年余りの結婚生活を振り返りながら、今後のことを話し合いました。

A造さん  「ゲホンゲホン…B代、B代と結婚して、僕はしあわせだったな…残した家族のことは頼むぞ……ゲホン…財産だけはあるから、それでみんなで幸せに暮らせよ…ゴホゴホ…(頬を伝う涙)」

B代さん  「………あなた、死なないで~~~(ドバドバ流れる涙)」

C子さん  「お父さん大丈夫!~~~私にできることなら何でもします!!(きっぱり!)」

D太くん  「姉さん、すごいな~~~!僕は、お父さんに死んで欲しくない、無理だよ~僕にお父さんの代わりなんてできないよ…(オロオロ…涙)」

Q太郎くん 「オレ、明日サッカーの試合あるから、お母さんお弁当さあ、唐揚げ入りおにぎりにしてくれ、お願い!」

ねえねえパレ子さん~~~是非、アドバイスくださ~~~~い!

「はい!お父さんA造さんの望み、『家族の幸せ』を願い、がんばります!!!」

今回の楽田A造さんの資産は複数の土地建物と、先ほどもコソッと言いましたが銀行預金3600万円です。

相続という文字がチラホラ頭をかすめたら…

A造さんは残す家族をとっても心配していますぅ…財産がたくさんあるので、家族が路頭に迷うということはないと思いますが、たくさんあるから無駄に財産を使ってもいいわけではないですしね。また仲が良かった家族が、相続という出来事をきっかけに財産がたくさんあるがゆえのもめ事に発展するのも避けたいですよね~。A造さんはそのことが一番心配なんです。

まず、A造さんは複数の土地建物を所有していますが、B代さん、C子さん、D太くん、Q太郎くんにそれらを守って欲しいと考えてます。

A造さん  「ゲホンゲホン…代々受け継いできた土地建物は、他人の手に渡したくないんだよ…ゲホン、だから、相続税は現金で払いたいんだな…ゴホゴホ…苦しい、水くれ…」

それに、A造さんの銀行の預金…3600万円って言ってましたよね~

遺産相続で預金について何か問題は?期限とかは?

そこで、相続の時の預金の扱いについてみてみますね、この場合2つ問題があります。

1つ目は、

口座の名義人が死亡してそのことを金融機関が知ると、口座が凍結されてしまいます。ですから、そんなに多額でない場合で葬儀費用等の支払いのためなど緊急のお金は、口座凍結の前(死亡前)に引き出しておくと言うのもありですね。

ただ、今回楽田家では複数の銀行に合わせて預金3600万円ですから、少しだけ引き出しても「焼け石に水」でしょうし、生前に多額の預金を他の人の名義の口座に移動させた場合は、今度は贈与税の対象にもなってくるので(贈与税の細かいことは別の機会にお話しますね!)、その扱いには注意が必要です。なので、まずは凍結した口座から現金を引き出せるようになるまで、約1ヶ月くらいかかるということを知っておいてくださいね!その間に必要なお金は事前に引き出しておいてください。

2つ目は、

楽田A造さんは複数の銀行口座をお持ちですが、これについて遺族がはっきりと把握していないと、残された遺族が知らないうちに月日が経ち、預金が引き出せなくなってしまうんですよ~。私達は、銀行等に自分のお金を預けていますよね。その自分の預けているお金を引き出したいと思っても、一定の月日が経つと言えなくなるんです。これを預金債権の消滅時効といいます。原則として、銀行預金の場合は5年(商法522条本文)で、信用金庫や労働金庫、信用協同組合の場合は10年(民法166条)で言えなくなるとなっています。でも実際に銀行等は、何年経っても預金者から言われたら、引き出しに応じてますけどね。

まずは原則をしっかり覚えてくださいね!

B代さん  「……(泣き泣き)……はい…C子、覚えておいてね…」

C子さん  「うん、わかった!」

D太くん  「姉貴、頼むよ~」

Q太郎くん 「明日、試合だから、オレ寝るぞ!」

税金の納付について何か期限は?

相続税の申告と納付は被相続人が亡くなってから10ヶ月以内に納付しないといけないという期限があるんですよ~。遅れたらなんと、その延滞税が年7.3%~14.6%かかってくるんです。速やかに相続税を納めることができるように、起きそうな問題を把握しておきましょうね!

そういえば、先ほどA造さんが「代々受け継いできた土地建物は、他人の手に渡したくないんだよ…ゲホン」とおっしゃってましたね~とすると、どの土地を誰々にどの建物を誰々に相続させるかを、A造さんが遺言で書いておくか、もしくは遺産分割協議で決めないといけません。

その遺産分割協議のときに問題となってくるのが、相続人が認知症を患っていたり、行方不明だったり、未成年の場合です。楽田家ではQ太郎くんが15歳で未成年ですから、家庭裁判所で特別代理人の選定手続きをしなければなりませんよ~。

A造さん  「…少し安心した…ゴホゴホ…(頬を伝う安心の涙)」

B代さん  「お金のことなんてどうでもいい…あなたが生きていてくれさえすれば~~~(大泣き)」

C子さん  「お母さん、大丈夫よ、私がいるから、」

D太くん  「姉貴に全部任せる!」

Q太郎くん 「…………(もう寝てます)………唐揚げおにぎり…うめ~~(夢の中ですね)…」

まとめ

まだまだ、相続に関してはいろいろと問題がありますよ~!。相続人が認知症でさまざまな判断をすることができなくなっていたり、判断させてはいけないときは、成年後見人の選任を申し立てないといけないんです。でもその申し立てから選任まで、半年から1年かかるという場合もあります。そうすると、被相続人が亡くなってから10ヶ月という相続税の納付期限もとっても短い気がしますよね~

でも、楽田家のように財産がいっぱいあるお家だからこその悩みですね~パレ子のお家は、全然大丈夫ですぅ~~~!