相続の問題には税理士さんか弁護士さんか、どっちがいい?

前から思ってたのですが、保険の仕事でお年寄りのお宅をお伺いしていると、もし、このご老人になにかあったら、残されたご家族困るだろうな……と。ご家族ではなくて、相続の結果がご本人が本意ではないんだろうな……と少し心配になることもあります。

そして相続税が発生するようなお家でなくて慎ましやかに生きてた人でも、なにがしかを残して逝く時は気持ちよく旅立って欲しいなとも、ふっと思うんです。

お家の中で、なにもトラブルがなく心配ごともないというのは、きっとほんとは少ないのかもしれませんね~。

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でもみなさんトラブらないようにしたいけど、誰に相談したらよいかなかなか分かりにくいのも現実です。

そこで今回は、相続が始った時にトラブルが起きて家族間で心やお金のしこりが残らないように、税理士さんと弁護士さんのどちらに相談したらよいかをみてみたいと思います。

今回のお話

楽田A造さん(らくたえいぞう55歳)は妻のB代さん(びーよ50歳)と娘のC子さん(しーこ30歳)と息子のD太くん(でーた25歳)の4人家族です。

そして、近くにはA造さんのお父さんのE介さん(いーすけ85歳)とF乃さん(えふの80歳)が住んでますが、この2人には長年の心配事が一個だけあります。

みなさんお気づきですか?そうです、N平さんです!

E介さんF乃さんご夫婦にはA造さんの他にもう一人お子さんがいて、A造さんの弟でN平さん(えぬへい50歳)っていうんですが、ちょっと最近連絡とれてないんですぅ~~。

E介さん  「ほんとに、N平はどこでなにしてるんだ…」

F乃さん  「いつまで私たちを心配させるんだか…」

A造さん  「まったく、家に顔見せなくなって20年だな~~」

B代さん  「ほんとですね~~」

C子さん  「きっとN平おじさんのことだから、どこかで元気にガハハハ~~~って生きてるよ」

A造さん  「そう気楽なことばっかりも言ってられないんだよ~~父さん達も年だしな~~父さんのところは現金はそんなに無いんだけど土地がいっぱいあって、もし父さん達になにかあった時に相続税のことが心配なんだよ~~」

B代さん  「あなた…そんな話、お義父さん達に失礼ですよ…」

C子さん  「ちょっと待って~~~この間会社でそういうこと言ってた人いたよ、相続問題で家族メチャクチャになった人、早く専門家に相談すればよかったって~~~」

D太くん  「でも、それって誰に相談すればいいの?役場の人?」

パレ子さん~~~!お願い、誰に相談するのがよいか教えてくださ~~~~~い!

かしこまりました~~~!楽田家のみなさんのお力になれるよう、パレ子頑張ります!

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相続問題は、誰に相談したらよいですか?

相続問題を解決してくれそうな先生って、弁護士さん、司法書士さん、行政書士さん、税理士さんがパッと浮かびますが、なんとなく敷居も高そうだし、どの先生にお願いしたらよいかほんとに迷いますよね。ましてや一応どれか適当に行ってみて、ダメだったら次っていうわけにもいかないですからね~~~!

そこでまずは相続問題に関しての、この4つの専門家の業務範囲をザックリ押えましょうね。

税理士

税理士さんがやれる業務はなんといっても相続税の申告等、税金に関しての問題です。

その前提で相続人を調査したり相続財産を調査することができます。

弁護士

弁護士さんは法律のエキスパートですから、あらゆる法律問題を扱えますよ。法律問題を扱えるということは、トラブルなどの法律相談に乗ってその解決策を提示し、本人の代わりに法律行為をすることもできますよ。この本人の代わりに法律行為をすることができるというところが、弁護士さんと他の先生達との大きな違いです。

ですから、司法書士さん行政書士さんがやれる業務は、全て弁護士さんがすることができま~~す!

ただ弁護士さんは法律問題はできますが、税務問題はできませんので相続税の申告等はできません。

司法書士

司法書士さんは法律問題の中でも登記の専門家ですから、相続が絡んだ場合の不動産の所有権移転登記や、事業の承継などに伴う商業登記のスペシャリストです!

そして、相続と絡んで遺言書の作成や遺産分割協議書の作成等にかかわることができますが、あくまで書面の代理作成ができるだけで、本人に代わって法律行為をすることはできないんです。ちょっとややこしいですねぇ、これはまたの機会に説明しますね。

行政書士

行政書士さんは、相続問題でトラブルが起きてもその解決はできません。あくまで遺言書や遺産分割協議書などの書面の代理作成ができるに過ぎませんので、上3つの先生達と比べると極めて業務の範囲は限定されています。

と、こんな感じで頼めそうな先生はいらっしゃいますが、楽田さんの場合は、どの先生に頼むのがよいか検討してみましょうね!

楽田さんちでは、なにが問題になりますか?

楽田さんちの不安のもろもろ…

A造さんのご両親のE介さん(85歳)とF乃さん(80歳)が高齢であること。

E介さんの財産は、土地建物が主で預貯金が少しであること。

次男のN平さんは行方不明であること。

相続税を払わないようにしたいこと。

A造さん  「不安といったら漠然とあるんだけど…これらの不安をほったらかしにしてていいのか、万が一の時に問題が起きないように事前に手を打つ必要があるのかどうか?その辺わからないんだよね…」

これらの不安が起こしそうな法律問題とは?

では、これらのA造さんの不安を具体的にみていきましょう!

まずE介さんとF乃さんには、土地等の財産が相当ありますが、万が一相続が起きたときにA造さんが相続税を払いたくないとすると、

1 現実に相続税を払うほどの財産かどうかをまず知りたい。

2 もし相続税を払うことになるなら、事前に払わないように対策することができるか?

3 事前の対策ができるとすれば、具体的に税理士と弁護士とどちらに相談すればよいか?

の3点が問題になりますね~~~!

A造さん  「おっ!そうなるか~~~~!」

では具体的にみていきましょう!

1 現実に相続税を払うほどの財産かどうかをまず知りたい!

相続税を払うことになるかどうかは、まず大まかな相続税の対象となる遺産総額を求めて、その概算額が相続税の基礎控除を上回るか否かを検討することが重要です。

これらの検討に関しては税理士さんにも弁護士さんにもどちらもすることができます。

因みに、E介さんが亡くなった場合の相続人は、F乃さん、A造さん、N平さんの3人になりますから、基礎控除額は、

3000万円+[600万円×3人]=4800万円

となりますね、相続財産の評価額の合計がこれを超えるか否かを検討することになります。

2 もし相続税を払うことになるなら、事前に払わないように対策することできますか?

相続税を払わないようにするには、まず相続財産を減らすことを検討しましょう。

相続財産を減らすには、E介さんの主な財産である土地を売却するか、生前贈与をすることが考えられますが、まず生前贈与を検討すると、これにかかる費用が相続の時と比べてとてつもなくかかってきます。

例えば、土地の固定資産評価額が1億円とすると、かかる税金が、

《生前贈与》  登録免許税2%(200万円)、贈与税5100万円、不動産所得税4%(400万円

《 相続 》  登録免許税0.4%(40万円)、相続税2300万円

贈与税と相続税の計算については詳しくは国税庁のホームページで確認してくださいね!

A造さん  「何だこりゃ~~~~~~~!こんなに違うのか~~~~!」

B代さん  「お父さん!これは大変ですよ~~~!なんとかしないと~~~!」

C子さん  「ちょっともらえたらいいな~~って思ってたけど、こんなの絶対無理~~~~!」

D太くん  「…同じく……」

E介さん  「相続にしたって、相当かかるな~~~!」

F乃さん  「ほんとに宝の持ち腐れですよ~~~~!」

E介さん  「じゃあ、ほっとけ!どうにかなるわい!

それが~~ほっとけないんです~~~~~!!

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なぜならE介さんの土地は、いずれは親族か他人に所有権を移転しないといけなくなりますよね?

そのときにスムースに所有権の移転ができないと、もらう方の親族は、名義は自分の名義じゃないのに固定資産税だけ払うのは抵抗ありますよね~~~。ましてや他人の場合はそんな土地、誰も買い手がつかなくなってしまいますよ~~~そうすると、不用な土地の固定資産税をいつまでもA造さんたち家族が払うことになってしまいますぅ~~~~!

A造さん  「どういうこと???」

弟のN平さん、行方不明ですよね?もし、相続対策に関してなにもしないで相続が始ったら、財産は法定相続人で共有になります。つまりF乃さん、A造さん、N平さん3人の共有になるわけです。

その共有状態の不動産を他人に譲渡して所有権移転登記をしようと思ったら、共有者全員の署名と印鑑証明が必要、つまりN平さんの署名と印鑑証明が必要だからです!

B代さん  「え”、N平さんには、連絡つかないんですよね?20年も行方知れずなんですよね?」

D太くん  「そりゃ~~やばいわ!」

C子さん  「…同じく……」

E介さん  「そこはなんとかならんのかねぇ~~パレ子さん上手にやってくれないか!」

はい!E介さんが遺言書を書いて、A造さんを遺言執行者として選任しておくのが良いと思います!そうすれば、N平さんが行方不明のままでも、スムースに所有権を移転することができますよ!

3 事前の対策ができるとすれば、具体的に税理士と弁護士とどちらに相談すればよいですか?

まず、相続財産の全体を把握して、その評価額の総額を把握することは税理士さんが適任です。

そして、相続財産の評価額から、控除したり、特例を適用したりして課税遺産総額を求めます。特にこの特例の適用は新しい特例もドンドンでてきますし、その適用期間が限定していることも多いので注意が必要ですが、この作業も税理士さんが適任です。

もっとも税理士さんは、法律的なアドバイスや法的な代理行為ができませんので、遺産相続に伴う問題が起きそうな場合は、それは税理士さんではなくて弁護士さんに相談する必要があるってことですね~~~!

例えば、相続人に行方不明者がいる場合は、失踪宣告(民法30条)を受けておくとか、相続から廃除(民法892条)しておくとか、遺言書を作成(民法967条)したり、遺言執行者を指定(民法1006条)しておくとか、はたまた、亡くなった人が借金だらけの場合は相続放棄(民法938条)をするとか……。

これらはやはり法律の専門家である弁護士さんが適任だと思います。

ですから、今回の楽田さんご一家の相談は、まず税理士さんに相談して財産の評価をしてもらい、4800万円を超えるようなら、早めに別途弁護士さんに法律相談をするのがよいのではないでしょうか!

それから4800万円超えてない場合も、遺言書の作成と遺言執行者の指定は、いずれはやっててくださいね、弁護士さんに~~~!

E介さん  「これで安心じゃ!わしは、いつ死んでもいいぞ!」

F乃さん  「そうですね~もう思い残すことはありませんね!」

A造さん  「ちょちょちょ~~っ待ってよ~~~親父~、お袋~~~」

B代さん  「大丈夫!準備をした人は、長生きしますから~~~~!」

C子さん  「そうだわ!おじいちゃんおばあちゃん、やることやって、あとは楽しくね!」

D太くん  「おじいちゃん、おばあちゃん長生きしてくれ~~~お願いだから~~~!」

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まとめ

相続と相続税に関しての相談をするのに、やはり口コミだけでは情報が足りないので、インターネットでホームぺージをみたりすると思うんですが、今は弁護士さんと税理士さんや他の士業の先生と業務提携していたり、共同で事務所を開いていたりしますね~~~!

なのでまずは、なんとなく不安があったら、まずは法テラスで気軽に相談してみてはいかがでしょうか?そして、起こりそうな問題を把握してから、適任そうな先生のドアをピンポ~~~~ンってね!

だって、自分の置かれている状況にどんな問題が潜んでいるか素人の私たちにはわかりませんもんね~~!