配偶者と兄弟で分ける相続の割合は、どれ位になる?

最近、結婚はしたものの、子宝には恵まれずに、老後のことを心配されてる人も多いと聞きます。老後といえば、やはり、身体がいうことを効かなくなった時に、老いた夫と妻と二人だけで老老介護となり、疲れ果てて悲惨な結末になってしまうことも…。ときどき聞きます。…悲しいですぅ…。


また、子どもがいるご夫婦とそうでないご夫婦では、相続に登場する家族のメンバーに違いも出てきて、勘違いや誤解から、礼を欠いてしまうこともあったり…それは避けたいですよね。

そこで、今回は子宝に恵まれないご夫婦のお話を中心に、相続が始った時に残された家族、配偶者や兄弟がどのように相続するのか、その割合や気をつけたいことについて、学んでいきましょう。

今回のケース(下記の事情以外は考慮しないこととしますね!)

楽田A造さん(らくだえいぞう55歳)は、妻のB代さん(びーよ50歳)と慎ましやかに幸せに暮らしていました。A造さんはとっても真面目な人なんですよ~、高校卒業後に就職してからはコツコツと長年働いて、貯金もしっかりガッツリ貯めてます。因みに、A造さんご夫婦は子宝に恵まれず、お二人にはお子さんはいません。

そんな慎ましやかに幸せに暮らしていた楽田家なんですが、実はA造さん5年前に、脳梗塞を患ってから残念ながら障害が残り、なんと要介護4となってしまいました。そして、妻のB代さんも元々身体が弱く、なかなか仕事もままならない状態だったので、二人して、A造さんのお姉さんのU保さん(ゆーほ65歳)に身の回りの世話など、ずいぶんとお世話になっていました。

お姉さんのU保さんはっていうと、ご主人を20年前に亡くしたあと、お掃除のパートをしながら細々と暮らしていて、今は年金暮らしです。それから内緒ですが、お姉さんのU保さん、一人だけ子どもはいたんですが、二十数年前に家出をしてからは、行方がまったくわからずに今に至っています。

A造さんもリハビリをがんばってはいたんですが、なかなか良くならずにいたところ、最近はなんとガンが見つかってしまい、ちょっとこれからのことに不安を抱えて、パレ子さんにご相談です。

A造さん  「パレ子さん、姉にはずいぶんと世話になってるんです。僕にもしものことがあった時に、どうにかこの気持ち形にできないかな~」

B代さん  「ホントにお姉さんには、A造さんだけでなく、私までも~ですから、アドバイスお願いします!」

パレ子さ~~~~~ん! アドバイスお願いします~~!

はあ~~~い!A造さんの気持ち、確かに受け止めました~~~!

A造さんには、預貯金が相当ありますので、もし、A造さんに万が一のことがあった時にちゃんと礼を欠かないように少し考えてみましょうね!


そもそも兄弟姉妹には、相続する権利あるんですか?

 

では、人が一人亡くなった時に始る相続について、順番に説明していきますね!

相続の第1順位

まず、相続が始ったら、第1順位の相続人として、配偶者と子があげられます(民法890条、887条1項)。ですから、まずA造さんの配偶者であるB代さんは、第1順位の相続人となります。

そして、第1順位の相続人のうち、子どもだけがいる場合は例外がないのですが、子どもがいなくて配偶者だけがいる場合は、例外があります。

相続の第2順位

子どもがいなくて配偶者だけがいる場合は、例外として相続人は第1順位の配偶者と、亡くなった人の親(直系尊属、889条1項1号)が第2順位の相続人となります。A造さんのご両親はもう他界されてますね…。

相続の第3順位

そこで、子どもはいないし親もいない場合に初めて、第3順位の兄弟姉妹の相続権が出てきます(889条1項2号)。ですから、A造さんご夫婦には子どもがいませんし、ご両親も他界されてますから、A造さんのお姉さんのU保さんは、相続人となりますね。

A造さん  「あ……良かった…姉さんには世話になったからな…少しは恩返しできるな…」

B代さん  「お姉さんも国民年金だけだから、苦しいでしょうから、少しでも足しになれば~」

U保さん  「いいんだよ~!A造、こんなこと当然じゃないか~私はあんたの姉なんだから~」

あるとしても、その割合は?

相続人が、配偶者と子ども一人の場合は、相続の割合は2分の1ずつですが、相続人が、配偶者と兄弟一人の場合はその割合は2分の1ずつではなく、配偶者4分の3、兄弟4分の1の割合となります(900条3号)。

A造さん  「割合、半分ずつじゃあないのか…なんか、それでは申し訳ないな…なあB代?」

B代さん  「えっえ~~~、そうですね、もう少し~~~」

U保さん  「いいから、いいから、そんな割合とか~私に気を遣わないでおくれよ~~~B代さんに悪いよ!」


被相続人の思いを形にできますか?

A造さんには、預貯金が3000万円あります。A造さんが何もその意志を残さなければ、相続は法定相続分の割合に分けられますから、B代さんが4分の3、U保さんが4分の1となって、

B代さん 2250万円

U保さん  750万円 となります。

でも、それではA造さんご夫婦の気持ちが済まないようですので、A造さん亡き後、B代さんとU保さんとで遺産分割協議をして割合を変えてもいいですよ~。

A造さん  「でもな…姉さんも言いにくいだろうし…B代もチャカチャカ動けるような状態じゃないしな…」

B代さん  「はぁ…ふぅ…」

U保さん  「わたしゃ~面倒くさいことはごめんだよ~それにA造とB代さんの面倒みてたのは、兄弟だもん当たり前だろ!」

では、やはり、A造さんが遺言を書かれた方が良いと思います。A造さんは今、字を書くのが難儀だと思ってらっしゃいますよね~?

A造さん  「そうなんだよ~手があんまり効かなくて…、だから、字もあんまり書きたくないんだ…」

では、公正証書遺言の方式にしましょう。公正証書遺言は公証役場で証人2人同席で、口頭で言って公証人が作ってくれますので、A造さんは思いを公証人に伝えるだけでいいんですよ~!

A造さん  「ほ~それなら、僕にもできそうだ!早速、公証役場に行ってこよう!」

B代さん  「良かったわ~お姉さん、ホントにありがとうございます!これからもお願いします。」

U保さん  「なんか、悪いね~A造、B代さん!~実は国民年金だけで生活してるもんだから、ホントに心細かったんだよ~、介護保険やらなんやらさっ引かれて月、6万切るからね~~~だからホントに気持ちありがとね!」

まとめ

家族の形もいろいろで、その形に合わせて、相続の形も変わってきます。配偶者はやはり相続では手厚くなってますね~。今年度の民法の改正でも、相続に関して配偶者を優遇する改正になってますね。具体的に施行されましたら、また、詳しくご説明いたします!

今回のU保さんのように、国民年金に入られている国民年金第1号被保険者の方、自営業者の方とかは、国民年金基金や生命保険の個人年金などに重ねて加入して、老後に備えたいものですね!