相続時、債務がある場合に遺留分の計算してみるね

人が亡くなり相続が始ったら、財産があんまりなければ、残された遺族はそんなに遺産相続について、目くじらたてないかもしれません。いえ、そうでもない?!お葬式代を誰が負担するとかで揉めることはあるみたい…。確かに~~~~。

一方、残された財産がたくさんある場合も揉めやすいですよね~~。


今回は残された財産がたくさんあって、なおかつプラスの財産だけじゃなくてマイナスの財産、債務っていうやつですが、それもたくさんある場合について、遺留分の計算を交えて楽田さんのケースでみてみましょうね!

今回のケース その1(下記の事情以外は考慮しないこととしますね!)

楽田A造さん(らくだえいぞう55歳)は、10年前に妻のB代さん(びーよ享年40歳)に先立たれたあと、娘のC子さん(しーこ30歳)と息子のD太くん(でーた28歳)と3人で暮らしていましたが、C子さんは2年前に結婚して家を出ています。

A造さんは長年自営業をコツコツとやってきて、派手さはないものの堅実な仕事をしてきました。そして息子のD太くんは父のあとを継ぐべく高校卒業した後、よそで修行をして先日家に戻ってきたところでした。

そんなある日、お父さんのA造さんが心筋梗塞で亡くなってしましました。

D太くん  「おやじ~~!なんでだよ~~、これからおやじを助けて一緒に働けると楽しみにしてたのに~~~!」

A造さん  「あ……良かった、D太にあとを継いでもらうことできて……ちゃんと始末しておいて良かった…」

C子さん  「何のこと?始末って~~~~~?」

D太くん  「実は姉ちゃん…、おやじなあ、オレが商売を継ぐからって3000万円よこしたんだ…」

C子さん  「なに?私には?そんな事私聞いてない!なんであんたばっかり~~~~!」

さあ~~~大変!ちょっと楽田家、二人っきりの兄弟なのに~~~~!

ですよね~~~~!C子さん、落ち着いてください!D太くんもしっかり~~~~!


遺言がない場合の遺留分減殺請求

では、C子さんのおっしゃりたいことを十分に理解して、遺留分という形でC子さんに残せないか考えてみましょう。

人が亡くなって遺言をしていたり生前に贈与がある場合は、本来の法定相続人であるにもかかわらず、遺産相続ができなくなることがありますよね?

そんなときに、遺留分減殺請求(民法1028条、1031条)をすることによって最低限の遺産をもらうことができるんですね~。

A造さんが残した財産は、4000万円の現金と2000万円の債務ですが、亡くなる直前にD太くんに渡した3000万円は、生前贈与という形になりますから、相続財産にその3000万円は含まれることになります。

では、これを前提にC子さんができる遺留分減殺請求できる金額を計算してみましょう。

まず、C子さんの遺留分

まず相続財産は、現金4000万円+生前贈与3000万円-債務2000万円となりますので、計算すると、5000万円になりますね。

その5000万円の相続財産に法定相続分2分の1の2分の1が遺留分(1028条2号、1029条)になりますので、

5000万円×0.5×0.5=1250万円がC子さんの遺留分となります。

次に、遺留分侵害額は

C子さんは4000万円の2分の1、2000万円を相続して、債務2000万円の2分の1も相続していますので、

1250万円-[2000万円-1000万円]=250万円が遺留分侵害額となります。

ですから、C子さんはD太くんに250万円を遺留分減殺請求できるということになります。

D太くん  「姉貴…すまない…」

C子さん  「もう、いい!」

A造さん  「姉弟仲良く頼むぞ~C子、D太、お父さんは空の上から、安心してみてるからな~

遺言を残した場合の遺留分減殺請求

今回のケース その2(下記の事情以外は考慮しないこととしますね!)

A造さんは、最近自分がガンに冒されていることを知り、自分が長年頑張ってきた自営業をD太くんに継いでもらうために、財産の全てをD太一人に相続させるという遺言を残しました。財産は4000万円の現金と2000万円の債務です。

D太くん  「おやじ……」

C子さん  「お父さん!私だってお母さん亡くなったあと、家のこと全部やってきたのに~~~」

A造さん  「C子、悪いな…それは父さんも十分わかっている…でもな~これは商売のことなんだ」

この場合、D太くんとC子さんで遺言内容とは違う遺産分割協議をしてもいいですが、今回は遺言内容に沿って計算をしてみますね。

まず、C子さんの遺留分

現金4000万円から2000万円の債務を引いて残り2000万円の2分の1の2分の1が遺留分ですから、

2000万円×0.5×0.5=500万円がC子さんの遺留分となります。

次に、遺留分侵害額は

500万円-[C子さんの相続分現金0円、債務0円]=500万円

C子さんは500万円をD太くんに遺留分減殺請求できることになります。

もっとも、遺言があっても債務者からの請求には、D太くんとC子さんはそれぞれ分割債務を負いますので、C子さんは2000万円の債務の2分の1の1000万円を支払う必要があります。なので、もし支払ったらC子さんはD太くんに請求することもオッケイです。

C子さん  「私が支払える訳ないでしょ!!!D太が全部責任持ってやってちょうだい!!!」

D太くん  「はい…すんません…」

A造さん  「おいおい、空からみてるぞ~~~」

C子さん  「どうぞ!勝手にみてちょうだい!!もうお墓参りもD太一人で行ってちょうだい!!」

債務が保証債務だった場合

最後に、A造さんの債務が保証債務だった場合には、遺留分の計算上は、控除の必要はないので注意してくださいね。


まとめ

確かにご商売をされていた人が亡くなった場合、残された家族に公平に財産を分けるのは大変なようです。

ましてや相続が、急に亡くなってしまったことによる場合は、ホントに残された家族が揉めないようにするのは大変なことも多いですね~~。

A造さん享年55歳、ガンの罹患率も40代後半から急激にアップします。これは40歳を境に身体の代謝酵素がガクンと落ちるために、毎日発生するがん細胞をきれいにやっつけることが難しくなってくるからなんですね~。

なので、身体のことを気遣ってお食事やサプリ、運動をすることもとっても大事ですが、他方で自分のもしものことを考えて、遺言の中身を考えることもしてみてくださいね!

残された家族のためにね!