のっけから、私ごとですが~~~
今年に入ってから、立て続けに死亡給付金のお手続きが何件もあり、そのたびに相続税のお話させてもらうんですが、相続税は平成27年の改正があってから、基礎控除の額がかなり下がりましたので、相続税を納める人も増えてますね~~~。
その相続税をできるだけ納めないように、いろいろな控除の制度があります。
今回の小規模宅地等の特例もその一つ、今回も楽田さんご一家のケースで、遺留分と絡むところを勉強していきましょう。
今回のケース(下記の事情以外は考慮しないこととしますね!)
楽田A造さん(らくだえいぞう55歳)は妻のB代さん(びーよ50歳)と娘のC子さん(しーこ30歳)と息子のD太くん(でーた25歳)の4人家族で幸せに暮らしていました。A造さんは、地元の大手の製造工場にお勤めで、B代さんは専業主婦、C子さんは銀行にお勤めして12年経ち、D太くんも、お父さんと同じように製造工場に勤めて7年目です。
楽田さんの家族は特にトラブルもなく普通に暮らしていました。まあ強いてあげれば、親戚の集まりがあるとオジサンやらオバサンから「C子はいつ嫁にいくんだ~~」と言われることが楽田家ではちょっとね…、今ならハラスメントとして訴えられそうな感じですが~~。内緒ですがC子さん、少し気が強いのでお嫁に行くって感じじゃ全然ないみたいですぅ~~~。
そんなある寒い朝、A造さんが起きてきません!
B代さん 「お父さん!お父さん!早く起きて、仕事……ぎゃ~~~~!お父さん冷たい!!!」
C子さん 「もしかして、心臓止まってる?………D太、お父さん触ってみて…」
D太くん 「え~~~~!ちょちょちょっっと~~~オレ無理!ぜ~~~~~ったい無理!!」
A造さん 「いいから、いいから、お父さんは今天国に向かってるよ…」
A造さんは心筋梗塞で、あっという間に命を閉じてしまいました。
そして、初七日も過ぎ、楽田家では元の生活に少しずつ戻ろうとしたある日、遺言がでてきて一家騒然!
パレ子さん!遺言には、なんて書いてあったんですか~~~?

遺言の内容は、ちょっと~~~~バランスが~~~~いまいち~~~~、揉めないといいんだけど!
遺言には、次のことが書いてありました。
1 B代に500万円
2 C子に200万円
3 D太に、200万円をやる。それから今家族が住んでる土地と建物をやる。
D太はお母さんと一緒に住んで最後までお母さんの面倒をみること
……と。
C子さん 「私は200万円か……ちょっとおかしくない?D太は家と土地もらうんでしょ!200万円って少なすぎるでしょ!私は嫁入り前で、これから結婚するときに」C子さんピンクの電卓はじきまくる!
D太くん 「オレはお母さんちゃんと面倒みるから、お父さん安心してね!」
A造さん 「D太、頼むぞ!お母さんとお姉ちゃんのこと~特にお姉ちゃんとは揉めるなよ、大変だから~」
B代さん 「D太…あんた長男だから、この家守ってね…それに、お母さんもあんたを頼りにしてるから……、あれ?C子、結婚しないっていってなかった?いつ、心変わりしたの?」
まず、遺留分ってなんですか?

「遺留分」(民法1028条)とは、法定相続分を侵害された相続人が、本来の割合で相続した分の半分を「よこせ~~~!」って請求できることを言います。そして、請求の相手は、遺言で遺贈された赤の他人だけでなく、たくさんもらった相続人にもできますよ。
なので、D太くんは土地と建物もらってるので、金額にしたらたんまりもらってますから、C子さんはD太くんに遺留分をよこせ!ということがでできます。
C子さん 「ほ~~~~ら、法律はちゃ~~~~んと公平になってるわ!!!」と、ピンクの電卓はじきまくるC子さん!
C子さん!!!電卓壊れますよ!!!!落ち着いて~~~~!
では、遺留分を計算してみましょう
その前提に法定相続分を計算してみますね!
楽田家の土地が5000万円、建物が2100万円、そして、3人に分けた現金が900万円、全部で8000万円が相続財産総額となります。
B代さん達の法定相続分が、B代さんが2分の1、C子さんとD太くんはそれぞれ4分の1ずつとなりますから、
B代さん 4000万円
C子さん 2000万円
D太くん 2000万円となります。
そして、遺留分は法定相続分の2分の1となりますから、C子さんの遺留分は1000万円になりますね~。
遺留分減殺請求はいくらできますか?
では、法定相続分の通りにA造さんの財産を分けた場合、C子さんは1000万円もらえるはずだったのに、遺言には200万円と書いてありましたので、C子さんはその足りない分800万円をD太くんに請求したいですよね~。この足りない分を請求することを、遺留分減殺請求といいます。
そこで、C子さんは実際いくら遺留分減殺請求できるか検討したいと思います。
小規模宅地等の特例を使えますか?
D太くん 「あのう…相続税の計算のとき、小規模宅地等の特例ってやつ?なんかそんなのありましたよね…相続の時5000万円の土地、実際より安くなるっていうやつ…お姉ちゃんに内緒で教えてもらえますか?よろしくお願いします。だって、オレ現金持ってないから、800万円払えっていわれても、すっごく困るんだよね…ホントに…(>_<)」
はい、かしこまりました~~~!
まず、小規模宅地等の特例を少しお伝えしますね!
小規模宅地等の特例とは、相続財産の中に居住の用の供された宅地、つまり、家族で住んでた建物が建ってる土地は、330平方メートルまでその宅地の評価が80%減になるという特例です。
ですから、楽田家の家族で住んでた5000万円の土地は80%の評価減で、1000万円で計算されるってことなんです。
もし、これで計算すると、相続財産総額が4000万円となり、C子さんの遺留分は500万円となりますから、C子さんができる遺留分減殺請求は、500万円-200万円=300万円ってことになりますね!
B代さん 「えっ、えっ、どういうこと?」
C子さん 「………………(-_-)」
D太くん 「………………(>_<)」
A造さん 「うお~~~~!恐ろしい~~~~誰か、早くピンクの電卓隠せ!!」

大丈夫です!!!
では、実際C子さんはいくら遺留分減殺請求できますか?
遺留分の計算に、小規模宅地等の特例は適用されませんから~~~!
ですから、C子さんはD太くんに、800万円を遺留分減殺請求できます。
そしてこの遺留分減殺請求権は、形成権といって、請求したら効力を生じるので、D太くん!頑張って~!
でも、C子さんは、A造さん亡くなってから、1年以内にこの請求をしないといけませんからね~。
C子さん 「当たり前でしょ!すぐするわよ!!」と、ピンクの電卓はじきまくるC子さん!
まとめ
ちょっと、D太くん心配ですね~~。
残された家族が相続で揉めることはしたくないですが、でも、相続財産が不動産が主の場合は、往々にして家族で揉めることあるそうです。現金が主だといいですね~~~!
では、不動産を売却して現金化ということも考えられますが、すぐ売れない、または値段が下がっているとして、上手くいかないことも多いです。ホントに難しいですぅ。
まあ、私のお家は、揉める元がないのでその点は安心です。みなさんのお家はいかがですか?