「終活」っていう言葉……いつから、私達の生活に当たり前のようになったんでしょう。本屋さんにいくと、いっぱい終活のためのエンディングノート売ってますよね?
私は特に50歳という人生の折り返し地点を過ぎたら、人生の後半戦をイキイキと生きていくために、自分自身を一度見直して、新たな出発することをご提案させてもらってます。その提案の一つ、遺言を書くというのも、とっても有意義なことだと思っています。今回は、まだまだお元気なうちに遺言を書くいう行動を起こした場合に気をつけたいことなどを、楽田さんのご家族と一緒に学んでみましょうね
今回のケース(下記の事情以外は考慮しないこととしますね!)
楽田A造さん(らくだえいぞう55歳)は妻のB代さん(びーよ50歳)と娘のC子さん(しーこ25歳)と息子のD太くん(でーた20歳)の4人家族で幸せに暮らしていました。A造さんは、高校卒業してから市役所勤めでとっても真面目な人です。そしてB代さんは専業主婦、C子さんは銀行に勤めて7年経ち、D太くんは医療系専門学校の2年生です。
このとっても真面目な家族とは対照的な家族が、A造さんの弟N平さん(えぬへい50歳)の家族…N平さんは人生はギャンブルだって豪語しながら生きてきた人で、最近もナンチャラコインでボロ儲けして鼻息をブーブー鳴らしています。奥さんのT子さん(ていこ48歳)はスーパーのレジをしています。このお二人には残念ながらお子さんはいません。
N平のおっちゃん 「オレもさ~今まで適当に生きてきてT子にも迷惑かけてきたし~、A造兄貴にもB代姉さんにも散々迷惑かけてきたからなあ~このあたりで、ちょっと返しとこうかな~と思ってさ~遺言書いたから~楽しみにしててな~」
T子さん 「なんだか知らないけど、この人ナンチャラコインでボロ儲けしてね~ホントにすいません!」
A造さん 「…………絶対信用するなよ…」
B代さん 「はい!」
一応N平さんが書いた遺言の中身は次の通りです。みんなに、見せびらかしてました~。
平成30年3月1日
1 ナンチャラコイン100枚(時価5000万円相当)とダイヤモンド(1カラット)はT子に、
2 オチャラケコイン100枚(時価5000万円相当)はA造兄さんにやって、
3 真珠のネックレスはB代さんにやる。 おわり 楽田N平 印
パレ子さ~~~ん!なんか信用できないんですけど~~~、それにコインってやばくないですか?

はい!ナンチャラコインもそうなんですけど~~~
N平さんの遺言の書き方も、ちょっと………少し調べてみますね!
遺言の種類と、その効力は?

遺言の種類を教えてください
遺言の種類は大きく分けると、自筆証書遺言(民法968条)、公正証書遺言(969条)、秘密証書遺言(970条)の3種類に分かれるんですね。自筆証書遺言は、遺言する人が自分で書いて、印鑑押して封をしたもの、公正証書遺言は公証役場で証人2人同席の下、口頭で言ったことを公証人がまとめたもの、秘密証書遺言は自分で作って封をして、公証役場に持っていってこれ、遺言ですって言って認めてもらったものになりまーす。
N平さんの遺言は、自分で書いてみんなに見せびらかして封筒に入れたものですから、自筆証書遺言のようです。
その遺言、効力ありますか?
自筆証書遺言の場合は、15歳以上の人が、全文、日付、氏名を自署して、印鑑が押されている必要があります。これをN平さんの遺言についてみてみると、なんとかミミズが這ったような字ですが、要件は満たされているようで有効ですから、N平さんが万が一のときは、その死亡した時から効力を発しますよ(民法985条)。
A造さん 「少し安心したなあ~あいつもまあまあいいとこあるじゃないか~~~」
B代さん 「ホントですね~なんか胡散臭いと思ってたけど、N平さんもいい人だったんですね~」

ちょっと待ってください!信用するのは早すぎます!!
えっ遺言の効力がなくなることあるんですか~?
あります!あります!あるんですぅ~~~~!
撤回
まず、N平さんが気が変わってしまい、遺言を破ってしまえば、はいそれまでですぅ~(遺言の撤回1022条)。
抵触
次に、N平さんがB代さんにあげるって言ってた真珠のネックレスを、行きつけのスナックの若いお姉ちゃんにあげちゃったら、はいそれまでですぅ~(遺言との抵触行為1023条)。
目的物の破棄
さらに、N平さんがパソコンの操作を間違ってしまい、オチャラケコインが消えてしまったら、はいそれまでですぅ~(遺言の目的物の破棄1024条)。
N平のおっちゃん「だいじょう~~~~ぶい~~~っ!そんな事しねえから~~~~」
T子さん 「そうですよ~うちの人チャランポランだけど、悪い人じゃないんだから~~」
A造さん 「…………絶対信用するなよ…」
B代さん 「はい!わかってます!」
C子さん 「第一、ナンチャラコインもオチャラケコインも暴落したら終わりでしょ!」
D太くん 「だよな~~~!オレ一瞬信用するとこだった~~~あっぶね~~~!」
まとめ
自筆証書遺言の場合は、遺言を見つけて、その場で相続人たちで勝手に封開けたりしないでね、気をつけてくださいね!
家庭裁判所で検認という手続きを経ることが必要なんです(1004条)。これをしないで、勝手に開けたりすると、5万円以下の過料を喰らっちゃいますよ~~~!是非、お気を付けてくださいね!
ルンルンで「ダ・イ・ア・モ・ン・ド~~~」なんて言って封開けちゃ絶対だめですからね!