皆さん、土地や建物の登記に関しては、司法書士さんに頼めばいいわよね~って思ってらっしゃる人、多くないですか~でも司法書士さんに頼むのも、実は敷居が高いなあ~なんて人もきっといらっしゃいますよね?
実はやろうと思えば、自分でもできるんですよ~~登記手続き!
そして財産が動く時っていうのは、一つは相続の時ですよね!
そこで、相続が始ってからどうしようって慌てるのではなく、財産があってその財産を自分の思う人に継いでもらうために、ちょっと登記のことや登記申請書のこと、書式のことなど少し勉強してみましょうね!
今回のケース(下記の事情以外は考慮しないこととしますね!)
楽田A造さん(らくだえいぞう55歳)は妻のB代さん(びーよ50歳)と二人暮らしですが、最近お父さんのE介じいちゃん(いーすけ85歳)のことでちょっと心配なことがあります。
というのもE介じいちゃんが腰が痛い痛いっていってるんです。身体があっちこっち弱ってるらしく、最近気弱なことを連発しています。
E介じいちゃん「A造…オレはあんまりお金は残せなかったけど、先祖代々受け継いできた土地だけはおまえに守ってもらいたいな…ほんに…ほんに…」
A造さん 「父さん、なに気弱なこと言ってんだよ~まだまだ元気でいてくれよ、大丈夫だから~」
B代さん 「そうですよ~F乃ばあちゃんが亡くなってから淋しいでしょうけど、お父さん100歳までお元気でいてくださいね~」
E介じいちゃんには、先祖代々受け継いできた広大な土地があるんですが、A造さんが真面目な人なので、そのままA造さんが継いで大事に守ってくれることについては、安心しているようです。
でも実は、E介じいちゃん、心に一つ心配なことがあったんです。
E介じいちゃん「じゃがな………N平のことだ…どこへ行ったんじゃろ…親不孝ものが…」
そうなんです!
A造さんの弟の、あのN平のおっちゃん(えぬへい45歳)のことです。N平さんはもうかれこれ20年行方を眩まして、どこへ行ったのやら家族はさっぱりわかりません。
E介じいちゃんは、親孝行なA造さんと親・不・孝なN平さんとが、あとあと揉めることが心配なんです。なんせN平のおっちゃんは、若い時から欲深いうえにちゃらんぽらんでしたから~。
パレ子さ~~~ん、お願いします。これからの楽田家のために、何か先手打っておくことはないですか?ハア~~~~イ!任せてくださ~~~い!皆さんのお力になりま~~~~す!
土地という財産をどう守ればよいですか?

土地といっても、土地の種類は実は法律上23種類あるんですね~、主なものは、田、畑、宅地、山林、原野、牧場…いっぱいあります。E介じいちゃんが先祖代々受け継いできた土地は、
宅地 500平方メートル (一応この宅地の上には建物があります)
田、畑 1000平方メートル
山林 5万平方メートル
かなりの財産ですね。そうすると、E介じいちゃんはこれら全てを、A造さんに継いでもらいたいということなんですね~。
E介じいちゃん「そうなんじゃ、N平に渡したところで、荒れ地になってしまうのは目に見えておる。それは嫌なんじゃ…」

遺言して遺贈という方法を取りましょう
あっ因みに遺言を書くっていうことについて、何も死ぬ間際にだけに残すものではなくて、先先のことを考えて家族が平和に暮らせるように、元気なうちに先に手を打って残しておくという積極的な意味でも大事なことなので、ここで知っておきましょうね!
遺言の種類は大きく分けると普通方式と特別方式と2種類あります。そして、その普通方式が、さらに自筆証書遺言(民法968条)、公正証書遺言(969条)、秘密証書遺言(970条)の3種類に分かれるんですね。
自筆証書遺言は、遺言する人が自分で書いて封をしたもの、公正証書遺言は公証役場で証人2人同席で、口頭で言って公証人が作ったもの、秘密証書遺言は遺言する人が自分で作って封をして、公証役場に持っていって正式な遺言と認められたものになります。
今回、E介じいちゃんは、土地をN平のおっちゃんには相続させないで、全てをA造さんに相続させたいんですよね? だとすれば、公正証書遺言の方式にして、遺言執行者(1006条)を指名するのが良いと思います。
なぜなら、遺言執行者をを指名しておくと、後々所有権移転登記がスムースに完了することができるんですよ~。
えっ、どういうこと?遺言執行者って?
そもそも遺言を書いてない場合
まず、E介じいちゃんが遺言を書いてなかった場合のことお話しておきますね!
法定相続分にしたがって相続人が財産を相続することになりますが、土地は現金のように簡単に分けることができないので、相続人全員で共有することになります。
そうすると、A造さんは、行方知らずのN平のおっちゃんと上記の土地を共有することになって、その所有権移転登記自体は保存行為(民法252条但し書き)としてA造さん一人でその登記はできます。
でも、そのあと処分する場合は、N平のおっちゃんが出てこないと何もできなくなります。まあ、先祖代々の土地で、E介じいちゃんに「守ってくれ」と言われているので、それでも当分はいいとは思いますが、やはり後々のために、N平のおっちゃんが足かせにならないようにしたいですよね。
では遺言を書いておいた場合
「全財産をA造に渡す」と遺言は書いてあるが、遺言執行者が指名されてない場合は、遺贈による所有権移転登記は、登記権利者(不動産をもらう人)と登記義務者(死んだ人の代わりに不動産をあげる人全員)の共同申請になりますので、N平のおっちゃんが出てこないと、話が一個も進みません。
これに対して、遺言執行者が指名されている場合は、登記義務者は遺言執行者一人で手続きが済みますよ~!
E介じいちゃん「ほ~~~~、な~るほど~~~これはいい!遺言執行者はA造お前がなれ!」
A造さん 「ややこしくなってしまいそうなことが、ちょっとした手順を踏むことで、スムースにことが運んだり~~~ちがうもんだね~~~」
B代さん 「パレ子さん、助かります!ホントにこれでE介じいちゃん長生きしてくれる、きっと!」
登記申請書の書式はどのように?
まず、登記申請書の書式がガチガチに決まっているわけではないのですが、登記申請書は必要な事項をわかりやすく書かなければなりません。
登記申請書の必要事項
登記の目的 所有権移転 原因 平成30年2月1日遺贈 権利者 住所 楽田A造 義務者 住所 楽田E介 上記遺言執行者 住所 楽田A造 添付書類 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明書 資格証明書 平成30年4月1日 申請 地方法務局 御中 課税価格 金 円 登録免許税 金 円 不動産の表示
まとめ
登記申請書の書式は、やはり難しいものがあると思います。でも、実は私の父が、住宅ローンを終わって抵当権を外す登記を、法務局の人に教わりながら自分でやりました。60歳は過ぎていたと記憶していますが、皆さん、大丈夫!めんどくさがらずに、チャレンジしてみましょう。
それから、今回の事例でも、やはり、前もって少しの正しい知識を入れておくって大事だってこと~気付いていただいたと思います。皆さん、めんどくさそうなこと、少しだけ興味持って、チャレンジね!ほんの少しだけね!